イスラムの芸術が花開いた墓地:タッタとマクリの歴史的建造物群

パキスタン・イスラム共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年1981年
登録基準(ⅲ)
その他の区分
公式テキストページ中巻55p
英文タイトルHistorical Monuments at Makli, Thatta

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

パキスタンの南東部、インダス川のほとりに位置するタッタは、かつてシンド地方の首都として栄えた古都です。そして、その郊外に広がるマクリの丘には、14世紀から18世紀にかけて築かれた、壮大な墓地が広がっています。これら一連の建造物は、ユネスコ世界遺産にも登録されており、イスラム建築とペルシアの芸術が融合した、他に類を見ない美しい歴史的景観を今に伝えています。

目次

シンド地方の栄華を物語る壮大な墓地

マクリの丘は、世界最大級の墓地の一つとして知られ、広大な敷地におよそ50万基の墓が密集しています。これらは、タッタを支配したサーマ王朝、アルグン朝、タルハーン朝、そしてムガル帝国の王族、聖者、そして有力者たちの墓です。特に、これらの墓廟は、その時代ごとの建築様式と装飾技術の粋を集めており、イスラム建築とヒンドゥー建築、そしてペルシアの様式が融合した独自のシンド様式を形成しています。

見どころハイライト:青いタイルの美しさが際立つ廟

マクリの丘の墓廟群は、その保存状態の良さと、繊細な装飾で見る者を魅了します。

ジャーム・ニザームッディーン廟(Jam Nizamuddin’s Tomb)

サーマ王朝の最盛期を築いたジャーム・ニザームッディーン2世の廟は、マクリの丘で最も美しい建築物の一つです。石彫刻で緻密に飾られた外壁は、ヒンドゥー教の寺院建築の影響を強く受けており、イスラム建築には珍しい彫像や装飾が見られます。その複雑で繊細なデザインは、当時の石工の卓越した技術を物語っています。

イーサー・ハーン1世の廟(Tomb of Isa Khan I)

タルハーン朝の君主イーサー・ハーン1世の廟は、2階建ての壮麗な建築で、ペルシア様式とムガル様式が融合した美しいドームが特徴です。青い釉薬を施したタイルや、精巧なカリグラフィー(書道)で飾られた壁面は、当時のイスラム芸術の粋を集めたものです。

ディヴァン・シャーリーヤ・ハーン廟(Tomb of Dewan Shurfa Khan)

ムガル帝国の官僚であったシャーリーヤ・ハーンの廟は、八角形の構造と、美しい幾何学模様のタイル装飾が特徴です。特にドームの内部は、カラフルなタイルで飾られ、その華やかさに目を奪われます。

シャージャハーン・モスク(Shah Jahan Mosque)

タッタの街中にあるこのモスクは、ムガル帝国皇帝シャージャハーンによって建設されました。その最大の特徴は、美しい青い釉薬タイルで覆われたドームと内部です。モスクにはミナレットがなく、その独特なデザインはペルシアの影響を受けているとされています。

タッタとマクリ観光のヒント

アクセス: パキスタンの最大都市カラチから、車で約2時間半の距離です。個人での移動は難しいため、現地のツアーに参加するか、ドライバー付きの車をチャーターするのが一般的です。

ベストシーズン: 10月から3月にかけての涼しい時期が観光に適しています。夏は非常に暑くなります。

服装: イスラム教の国ですので、肌の露出の少ない服装を心がけましょう。

タッタとマクリの歴史的建造物群は、パキスタンの知られざる歴史と、イスラム芸術の深さを感じられる特別な場所です。壮大な墓地が広がる静かな丘の上で、かつての王国の栄華に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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