サーンチーの仏教遺跡

サーンチーの仏教遺跡
インド
登録区分文化遺産
世界遺産登録年1989年
登録基準(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
その他の区分
公式テキストページ中巻138p
英文タイトルBuddhist Monuments at Sanchi

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

サーンチーの仏教遺跡とは

アショーカ王により建造が始まった仏教の一大聖地

サーンチーの仏教遺跡は、インド中部マディヤ・プラデーシュ州の丘陵地帯に位置する、仏教建築の発展と信仰の歴史を今に伝える貴重な遺産です。この地には紀元前3世紀から紀元後12世紀にかけて建立された多数の仏教建造物が現存しており、その中核をなすのが「大ストゥーパ(ストゥーパ第1号)」です。サーンチーは1989年にユネスコの世界遺産に登録され、その保存状態の良さと芸術的価値から、仏教建築の代表例として世界的に高く評価されています。

サーンチーの起源は、マウリヤ朝のアショーカ王の時代にさかのぼります。王は仏教の保護者として知られ、この地に仏塔を築き、自らの信仰を広めました。現存する大ストゥーパは、当初アショーカ王が築いた小規模なものを、後世に増築・修復したものとされ、直径約36メートル、高さ約16.5メートルという壮大な規模を誇ります。その半球形の構造は、釈迦の遺骨を納める仏舎利塔としての役割を果たしており、信者が周囲を右回りに歩いて礼拝を行う「周歩(プラダクシナ)」の空間も整備されています。

特に注目されるのが、大ストゥーパに付随する4基の「トーラナ(門)」です。これらの門には、仏陀の生涯や前世譚(ジャータカ)などを題材とした精緻な浮彫が施されており、当時の美術や信仰、社会の様子を豊かに物語っています。仏陀の姿を直接描かず、菩提樹、法輪、足跡などで象徴的に表現している点は、初期仏教美術の特徴をよく示しています。

サーンチーには、大ストゥーパのほかにも、小型のストゥーパ、僧院跡、石柱、仏塔、仏堂など多くの建造物が残されており、仏教建築の変遷をたどることができます。これらは異なる時代に建設されたもので、初期の簡素な建築から、後期の華麗な装飾を施した構造まで、時代ごとの宗教観や建築技術の進化が見て取れます。

また、サーンチーは仏教の学問や修行の中心地としても機能しており、多くの僧侶がこの地に集い、教えを深めました。そのため、サーンチーは単なる宗教建造物の集合体にとどまらず、精神文化の中心としての役割も果たしていたのです。

現在、サーンチーはインド国内外から訪れる巡礼者や研究者にとって重要な訪問地となっており、仏教の教えとその歴史を静かに伝え続けています。この地を訪れることで、訪問者は仏教が築いてきた精神性と芸術性、そして時代を超えて受け継がれてきた信仰の力を実感することができます。サーンチーはまさに、仏教遺産の精華を今に伝える貴重な文化遺産といえるでしょう。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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