デリーのクトゥブ・ミナールとその関連施設

デリーのクトゥブ・ミナールとその関連施設
アトゥルヴィス, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
インド
登録区分文化遺産
世界遺産登録年1993年
登録基準(ⅳ)
その他の区分
公式テキストページ中巻150p
英文タイトルQutb Minar and its Monuments, Delhi

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

デリーのクトゥブ・ミナールとその関連施設とは

イスラムの力を誇示したモスクと塔

インドの首都デリー南部に位置する「クトゥブ・ミナールとその関連建造物群」は、イスラーム王朝の成立とともに築かれた壮大な宗教的・建築的遺産です。この遺跡群の中心をなすクトゥブ・ミナールは、高さ約73メートルを誇る石造のミナレット(尖塔)であり、1193年に奴隷王朝の初代スルタン、クトゥブッディーン・アイバクによって建設が始められました。以降、後継者たちによって増築が繰り返され、13世紀初頭にほぼ現在の形となりました。

クトゥブ・ミナールは赤砂岩と大理石を用いて築かれており、表面にはアラビア語のクルアーンの章句や美しい幾何学文様が施されています。その構造は5層に分かれており、各層は異なる装飾スタイルを持ち、建設された時代ごとの建築技法や美意識の変遷を知る手がかりとなります。この塔は単なる礼拝の呼びかけのための施設にとどまらず、イスラーム支配の象徴としての政治的・文化的意味をもって築かれたと考えられています。

クトゥブ・ミナールの周囲には、同時代の建造物が数多く遺されており、これらが一体となって遺跡群を形成しています。代表的なものとしては、インド最古のイスラーム礼拝堂とされる「クワット・ウル・イスラーム・モスク」があります。このモスクはヒンドゥー教やジャイナ教の寺院から再利用された石材で築かれており、柱や壁面には当時の宗教的要素が混在して見られます。これはイスラーム文化とインド土着の建築技術・意匠が交差した希少な例です。

また、13世紀に建てられた未完成の巨大ミナレット「アラーウッディーンのミナール」や、インド古来の錬鉄技術を示す「鉄柱」なども注目すべき遺構です。特に高さ7メートル近くの鉄柱は、1000年以上も錆びることなく現在に残っており、古代インドの高度な金属加工技術の証とされています。

1993年にユネスコの世界遺産に登録されたこの遺跡群は、イスラーム建築とインド固有の技術・文化の融合を示す傑作として高く評価されています。クトゥブ・ミナールとその関連建造物は、時代と宗教、文化が交錯する中で築かれた貴重な歴史的証言であり、訪れる人々に深い感銘を与える文化遺産です。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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