| 国 | トルコ共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 1985年 |
| 登録基準 | (ⅰ)(ⅳ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻151p |
| 英文タイトル | Great Mosque and Hospital of Divriği |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
ディヴリーイの大モスクと病院とは
イスラムとアナトリアの様式が融合した複合建造物
トルコ東部、スィヴァス県の山間に位置する町ディヴリーイにある「大モスクと病院(ダールッシファ)」は、13世紀に建造されたイスラーム建築の傑作であり、建築技術と装飾美術の両面において極めて高い評価を受けております。1985年にユネスコの世界遺産に登録されたこの複合建築は、セルジューク朝の地方政権であるメンギュジューク朝によって建立され、信仰、治療、学びの場として長く人々に親しまれてきました。
この建築群は、1228年から1229年にかけて、当時のディヴリーイ君主アフマド・シャーフとその妻トゥラン・メレク・ハトゥンによって建設されたものです。モスクと病院が一体となった構造を持ち、イスラーム建築としては特異な形式とされます。礼拝所としてのモスクと、医療施設である病院が隣接して設けられており、宗教と福祉が結びついた都市機能の一端を示しています。
特に注目すべきは、建物の外部と内部に施された彫刻装飾の豊かさです。大モスクの3つの門には、それぞれ異なる装飾様式が見られ、幾何学模様、植物文様、アラビア文字のカリグラフィーなどが極めて精緻に彫り込まれております。これらの門は、「楽園の門」「王の門」「婦人の門」と称され、各門ごとに異なる主題と象徴性を備えています。特に「楽園の門」の装飾は、石材とは思えぬほど繊細で、まるで刺繍のような彫刻技術により、訪れる人々を圧倒します。
病院部分は、中央に開放的な中庭を持ち、その周囲を診療室や講義室が囲む形で構成されています。ここでは医師の養成や薬草の研究が行われており、精神的・肉体的な癒しを提供する場として機能していました。また、病院の建築は音響効果にも配慮されており、中央の噴水の水音が療養中の患者を静かに癒すといった設計思想も見受けられます。
この建築群は、アナトリアにおける中世イスラーム建築の成熟を示すだけでなく、建築家の創造性と職人の技術力の結晶でもあります。建設にあたったのは建築家フルシド・アル=ナッフールとされており、その革新的な空間設計と装飾芸術は、今日に至るまで研究と称賛の対象となっております。
ディヴリーイの大モスクと病院は、単なる宗教建築や医療施設にとどまらず、中世アナトリアの文化的多様性、社会的寛容性、そして人間中心の設計思想を具現化した貴重な遺産として、後世に語り継がれる価値を有しております。

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