エディルネのセリミエ・モスクとその関連施設

エディルネのセリミエ・モスクとその関連施設
ドッセマン, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
トルコ共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2011年
登録基準(ⅰ)(ⅳ)
その他の区分
公式テキストページ中巻151p
英文タイトルSelimiye Mosque and its Social Complex

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

エディルネのセリミエ・モスクとその関連施設とは

アフガニスタン建築と芸術の最高

トルコ北西部、バルカン半島への玄関口に位置する古都エディルネにそびえるセリミエ・モスクは、オスマン帝国建築の頂点を象徴する宗教建築のひとつとして広く知られております。このモスクと関連施設群は、2011年にユネスコの世界遺産に登録されました。建設は16世紀、スルタン・セリム2世の命によって行われ、偉大な宮廷建築家ミマール・スィナンが晩年に手がけた傑作とされております。スィナン自身も「自らの最高傑作」と誇ったこのモスクは、建築技術と美術的完成度において極めて高い水準を誇っています。

セリミエ・モスクは、1575年に完成し、オスマン建築特有の壮大なドーム構造と対称性に優れたデザインを備えております。中央ドームの直径は約31.3メートル、高さは43メートルに達し、イスタンブールのスルタンアフメト・モスク(ブルーモスク)などの後続の建築に多大な影響を与えました。巨大なドームは、四方に設けられた8本の支柱によって巧みに支えられ、その空間構成は礼拝者に広がりと統一感をもたらします。

モスクの外観においても、特筆すべきは4本のミナレット(尖塔)です。それぞれ70メートルを超える高さを持ち、螺旋階段が3本内蔵されているという構造上の妙が見られます。この設計により、3人の登塔者が交差せずにそれぞれの階段を上ることが可能となっており、当時の技術水準の高さと創造性を示しております。

内部の装飾には、色彩豊かなイズニク・タイルが用いられ、植物文様や幾何学模様、アラビア文字のカリグラフィーが融合し、静謐でありながらも視覚的に豊かな空間が演出されています。ミフラーブ(メッカの方角を示す壁龕)やミンバル(説教壇)も、大理石彫刻の精緻さと調和の取れた設計によって、高い芸術性を備えています。

モスクに付属する複合施設としては、神学校(メドレセ)、市場(アルスタン)、図書館、時計塔、庭園などがあり、宗教、教育、商業が一体となった都市機能がここに集約されていました。これらの施設群は、オスマン社会におけるモスクの多機能性と公共性を物語っております。

セリミエ・モスクは単なる宗教建築にとどまらず、建築的洗練と精神性を融合させた総合芸術の結晶といえる存在です。その構造美、装飾、そして都市との調和は、オスマン建築の集大成であり、現代においても多くの建築家や学者に強い影響を与え続けております。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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