パッタダカルの寺院群

パッタダカルの寺院群
バサヴァラジ M, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
インド
登録区分文化遺産
世界遺産登録年1987年
登録基準(ⅲ)(ⅳ)
その他の区分
公式テキストページ中巻155p
英文タイトルGroup of Monuments at Pattadakal

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

パッタダカルの寺院群とは

南北の様式が混在するヒンドゥー教寺院群

パッタダカルの寺院群は、インド南部カルナータカ州に位置し、7世紀から8世紀にかけて建設された壮麗なヒンドゥー教および仏教寺院群です。この地は、チャールキヤ朝の王たちによって王権の戴冠式が行われた聖なる場所とされ、宗教的・政治的な中心地として重要な役割を果たしてきました。パッタダカルという名称は「戴冠の場」を意味し、王の権威を神々の加護によって正当化する象徴的な空間でもありました。

この寺院群は、南インドのドラヴィダ様式と北インドのナーガラ様式という、異なる建築様式が融合した稀有な例として知られています。各寺院は独自の特徴を備えながらも、全体としては統一感のある宗教建築群を形成しており、インド建築史における重要な転換期を象徴しています。建築技術や装飾の面でも優れており、彫刻やレリーフにはインド神話の豊かな物語が刻まれています。

寺院群の中でも特に注目されるのが「ヴィルパークシャ寺院」です。この寺院はチャールキヤ朝の王妃ロカマハデヴィによって建設され、シヴァ神を祀っています。その構造や装飾は、後の南インド寺院建築に大きな影響を与えました。寺院の壁面や柱には『ラーマーヤナ』や『マハーバーラタ』といった叙事詩の場面が精緻に彫られ、神々や英雄たちの物語が生き生きと表現されています。

他にも、マッラカーシュヴァラ寺院、サングメーシュヴァラ寺院、カーシヴィシュヴァナータ寺院などがあり、それぞれが異なる建築様式や宗教的背景を持ちながら共存しています。これらの寺院は、単なる宗教的施設という枠を超え、当時の政治的威信や文化的成熟を示す象徴でもあります。特に、インド亜大陸における宗教的寛容さや多様性がこの一地域に凝縮されている点は、世界的にも注目される価値を持ちます。

また、パッタダカルの寺院群には仏教寺院の跡も確認されており、この地が多宗教共存の場であったことがうかがえます。これは、宗教的な寛容と共生の伝統が根づいていた証であり、当時のチャールキヤ王朝の柔軟な宗教政策を示しています。

ユネスコによって世界遺産に登録されたパッタダカルの寺院群は、単に過去の遺跡ではなく、現代においても信仰と芸術の遺産として多くの人々に親しまれています。この場所を訪れることで、古代インドの建築技術の高さ、宗教的多様性、そして文化の奥深さを実感することができます。保存状態も比較的良好であり、石造建築の精緻な細工が今なお色褪せることなく、見る者に深い感銘を与え続けています。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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