| 国 | インド |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2023年 |
| 登録基準 | (ⅰ)(ⅱ)(ⅳ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻156p |
| 英文タイトル | Sacred Ensembles of the Hoysalas |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
ホイサラ様式の信仰関連遺産群とは
精緻な装飾で覆われたホイサラ様式の寺院群
ホイサラ様式の信仰関連遺産群は、インド南部カルナータカ州に所在する、12世紀から13世紀にかけてホイサラ朝によって築かれたヒンドゥー教寺院の建築群を指します。2023年にユネスコの世界遺産に登録されたこの遺産群は、代表的な三つの寺院、すなわちベルールのチェンナケーシャヴァ寺院、ハレービードのホイサレーシュワラ寺院、ソムナートプラのケーシャヴァ寺院から構成されており、ホイサラ王朝時代の宗教・芸術・建築の栄華を今に伝える貴重な文化遺産です。
ホイサラ朝は、11世紀から14世紀にかけて南インドのデカン高原一帯を支配した地方王朝であり、特に芸術と建築において独自の様式を発展させました。ホイサラ様式と呼ばれる建築スタイルは、星形の平面構造、極めて複雑な彫刻装飾、多層の基壇構造、精巧な柱頭細工などが特徴であり、当時の建築技術と美的感覚の到達点を示しています。
ベルールのチェンナケーシャヴァ寺院は、ヴィシュヌ神を主神とする華麗な寺院であり、外壁や柱に施された精緻な浮彫が訪れる人々を魅了します。これらの彫刻は、ラーマーヤナやマハーバーラタなどの叙事詩を題材としたもので、神々の姿や戦士、踊る女性像などが躍動感豊かに描かれています。
ハレービードのホイサレーシュワラ寺院は、シヴァ神を祀る双塔式の寺院であり、重厚な構造と緻密な彫刻が融合した堂々たる佇まいを見せています。かつてホイサラ王朝の首都であったこの地には、王朝の威信をかけた芸術活動が集中して行われました。
ソムナートプラにあるケーシャヴァ寺院は、上記二つの寺院に比べてやや小規模ではあるものの、保存状態が非常に良く、ホイサラ様式の完成された形式美を見ることができます。特に内部の柱や天井に見られる精巧な彫刻は、職人の技術の高さを物語っています。
これらの寺院群は、単なる宗教施設としての機能を超え、当時の社会、宗教、王権、そして芸術の結晶として築かれました。また、建築素材として用いられた緻密なソープストーン(滑石)によって、細やかな彫刻表現が可能となり、装飾性において他のインド建築様式を凌駕しています。
ホイサラ様式の信仰関連遺産群は、南アジア建築史の中でも特異かつ卓越した存在であり、今なお地域の信仰と文化の中で生き続けています。これらの遺産は、宗教的な精神性と芸術的な創造力が融合した空間として、訪れる者に深い感銘を与えます。

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