| 国 | ヨルダン・ハシェミット王国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2015年 |
| 登録基準 | (ⅲ)(ⅵ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻159p |
| 英文タイトル | Baptism Site “Bethany Beyond the Jordan” (Al-Maghtas) |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
イエス洗礼の地「ヨルダン川対岸のベタニア」(アル・マグタス)とは
ナザレのイエスが洗礼を受けた場所
イエス洗礼の地として知られる「ヨルダン川対岸のベタニア」、現地名アル・マグタス(Al-Maghtas)は、キリスト教における極めて神聖な巡礼地の一つです。この地は、新約聖書において、洗礼者ヨハネがイエス・キリストに洗礼を授けた場所として記されており、キリスト教の三大聖地の一つに数えられています。ヨルダンの首都アンマンの西約40kmに位置し、死海の北端に近いヨルダン川東岸に広がるこの遺跡群は、2000年代に本格的な考古学調査が行われ、その宗教的および歴史的価値が再確認されました。そして2015年には、ユネスコの世界遺産に登録されています。
アル・マグタスの遺跡群は、大きく分けて「洗礼の場所」と「教会と修道院の複合遺跡」の二つの区域に分類されます。最も重要な場所は「ヨハネの泉」と呼ばれる天然の水源で、ここが洗礼者ヨハネの活動の中心地とされ、初期キリスト教徒の巡礼が始まった起源の地と考えられています。ヨルダン川の流れに近接することから、イエスがここで水による洗礼を受けたと信じられており、多くの宗教画や文献にその光景が描かれています。
この地には、4世紀から6世紀にかけて建設されたバシリカ式の教会跡、洗礼用のプール(バプティストリウム)、洞窟聖堂、修道院、巡礼者用の宿泊施設などが数多く残されており、初期キリスト教徒の巡礼と信仰の様子を今に伝えています。これらの遺構は、当時の宗教活動の広がりや東方キリスト教の建築様式の発展を示す貴重な証拠とされています。
また、現在でもキリスト教徒にとってこの地は重要な巡礼地であり、特に東方正教会やカトリック教会の信徒たちが洗礼記念日などに訪れ、ヨルダン川での儀式を行っています。近年では、現代的な礼拝施設や巡礼者用の受け入れ設備も整備されており、信仰と観光の融合が進んでいます。
アル・マグタスは、聖書の記述と考古学的証拠が一致する数少ない場所として、その宗教的正統性が高く評価されています。信仰の原点に触れることができるこの地は、宗教的価値に加え、古代から続く人間の精神文化と礼拝の歴史を今に伝える貴重な世界遺産といえます。

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