ジャイプールのジャンタル・マンタル-マハラジャの天文台

ジャイプールのジャンタル・マンタル-マハラジャの天文台
インド
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2010年
登録基準(ⅲ)(ⅳ)
その他の区分
公式テキストページ中巻184p
英文タイトルThe Jantar Mantar, Jaipur

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

ジャイプールのジャンタル・マンタル-マハラジャの天文台とは

ムガル帝国末期の天体観測施設

ジャイプールのジャンタル・マンタルは、インドのラージャスターン州に位置する歴史的天文観測施設であり、18世紀に建設された一連の巨大な天文器具から構成されています。この遺産は、天体の観測と計測に特化した建築物として、科学的・技術的な卓越性を示すとともに、インド独自の宇宙観や時間観を反映した文化的意義の高い施設です。2010年にユネスコの世界遺産に登録され、その保存状態の良さと独創的な構造、そして天文学史への貢献が国際的に認められています。

この天文台は、ラージプート王国のマハラジャ、ジャイ・スィン2世(在位:1699年~1743年)によって建設されました。ジャイ・スィン2世は天文学と数学に深い関心を抱き、正確な天体観測に基づく暦の改良や占星術の実用化を目指して、デリー、バラナシ、ウッジャインなどにも複数の天文台を築きましたが、ジャイプールのジャンタル・マンタルはその中でも最大かつ最も保存状態の良好な施設です。

ジャンタル・マンタルには、観測や計測のための石造および漆喰造りの器具が20基以上設置されており、それぞれが太陽や月、惑星の動きを追跡したり、時刻や暦を正確に定めたりするために設計されています。中でも注目すべきは、世界最大の日時計「サムラート・ヤントラ」で、高さは27メートルに達し、太陽の影を用いて時刻を正確に測定することができます。わずか2秒単位で時刻を読み取れるその精度は、当時の科学技術水準の高さを示すものです。

ジャンタル・マンタルのもう一つの特筆すべき点は、その設計思想にあります。これらの天文器具は、ムガル朝やペルシア、ヨーロッパの科学知識と、インド古来の天文学が融合して生まれたものであり、幾何学や天文学、建築技術が統合された成果といえます。器具の多くは恒星の位置や黄道帯の動きを観測するために独自の形状をしており、その造形自体が観測機能と不可分である点において、科学と芸術の融合を体現しています。

今日、ジャンタル・マンタルは観光客だけでなく、天文学や歴史、建築に関心を持つ研究者たちにとっても貴重な学術資源となっています。また、定期的に行われる天文観測イベントや解説ツアーなどを通じて、その科学的遺産が次世代へと受け継がれています。インドの文化と科学が交差するこの天文台は、世界の天文学史における重要な一章を物語る場所として、今も多くの人々を魅了し続けています。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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