峨眉山と楽山大仏

峨眉山と楽山大仏
中華人民共和国
登録区分複合遺産
世界遺産登録年1996年
登録基準(ⅳ)(ⅵ)(ⅹ)
その他の区分
公式テキストページ中巻203p
英文タイトルMount Emei Scenic Area, including Leshan Giant Buddha Scenic Area

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

峨眉山と楽山大仏とは

自然豊かな仏教の聖地

峨眉山と楽山大仏の風景名勝区(Mount Emei Scenic Area, including Leshan Giant Buddha Scenic Area)は、中国四川省に位置する世界的に重要な文化的・自然的価値を併せ持つ地域で、1996年にユネスコの世界遺産に登録されました。この遺産は、古代から信仰の対象とされてきた霊山・峨眉山と、世界最大級の石造仏像である楽山大仏を含む一体の文化的景観で構成されています。

峨眉山は、中国仏教の四大名山のひとつに数えられ、特に大乗仏教の普賢菩薩信仰の聖地として広く知られています。紀元1世紀にはすでに仏教が伝来し、以後多くの寺院が建立されました。山中には現在も30を超える仏教寺院が点在しており、それぞれが歴史的建築や芸術的な仏像を有し、宗教儀礼や修行が今なお行われています。代表的な寺院としては報国寺、伏虎寺、万年寺、金頂寺などがあり、多くの巡礼者や観光客が訪れます。

自然面においても、峨眉山は中国西南部の豊かな生態系を象徴する地域として高く評価されています。標高差が大きく、熱帯から寒帯に至るまでの多様な植生帯が見られ、絶滅危惧種を含む多数の動植物が生息しています。特に中国固有の金絲猴(キンシコウ)や多くのラン科植物、薬草などは、生物多様性の面でも注目されています。霧や雲海、光の現象である「仏光」など、気象条件によって見られる幻想的な自然現象も、この山の神秘性を高めています。

一方、楽山大仏は、峨眉山から流れる岷江、青衣江、大渡河の合流点に面してそびえ立つ、高さ71メートルの巨大な磨崖仏です。8世紀の唐代に建造が開始され、約90年の歳月をかけて完成しました。仏像は弥勒菩薩をかたどったもので、岩山の断崖に直接刻まれており、壮大かつ精緻な造形が特徴です。仏像の周囲には排水構造が巧みに設計されており、風化を防ぐ工夫がなされています。こうした技術的配慮も、当時の高度な土木・彫刻技術を示す重要な証拠となっています。

峨眉山と楽山大仏は、自然と信仰、芸術と技術が融合した希少な文化的景観であり、中国における宗教的伝統と自然観の深い関係を示す象徴的な存在です。宗教的、歴史的、建築的、生態学的に多面的な価値を持つこの地域は、人類共通の遺産として今後も大切に守り継がれるべき場所です。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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