ルート砂漠

ルクロール, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
イラン・イスラム共和国
登録区分自然遺産
世界遺産登録年2016年
登録基準(ⅶ)(ⅷ)
その他の区分
公式テキストページ中巻213p
英文タイトルLut Desert

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

ルート砂漠とは

地球上で最も暑い砂漠が呈す風食による奇観

ルート砂漠(Lut Desert)は、イラン南東部に広がる広大な乾燥地帯で、2016年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。「ダシュト・エ・ルート」とも呼ばれるこの地域は、ペルシャ語で「空虚の平原」という意味を持ち、極端な気候条件と独特の地形によって知られています。その面積は約5万2000平方キロメートルに及び、イラン最大の砂漠として、地球上で最も過酷な自然環境のひとつとされています。

ルート砂漠の特徴の一つは、極端な高温環境です。NASAの衛星データによれば、この地域は2005年から2010年にかけて複数回、地表温度が70℃に達したと記録されており、これは観測史上最高水準とされています。こうした気候条件のもとで形成された砂漠の景観は、他に類を見ない特異なものとなっています。

この砂漠では、「カルート」と呼ばれる高さ150メートルにもおよぶ大規模な風食地形が広がり、まるで天然の城壁や塔のような光景を作り出しています。これらのカルートは、風による浸食作用によって数百万年かけて形成されたもので、ルート砂漠の中でも特に視覚的なインパクトが強く、多くの探検家や地質学者の関心を集めてきました。

また、ルート砂漠には巨大な砂丘地帯や塩原も存在しており、それぞれが独自の地形的特性を持っています。乾燥した塩湖の跡や、黒色の火山岩が転がる平原など、多様な地表環境が観察されるため、地質学や気候学の分野においても貴重な研究対象となっています。

このような極限環境にありながら、ルート砂漠には微細な生物も生息しており、生命の適応力の可能性を探る上でも重要な場所とされています。人間の定住は不可能に近いものの、過去には一部の交易ルートが砂漠の縁をかすめて通っていたと考えられており、文明とのかかわりも完全に絶たれていたわけではありません。

ルート砂漠は、その極端な自然条件、ユニークな地形、科学的意義によって世界自然遺産としての価値を高く評価されています。こうした貴重な自然遺産を次世代へと継承していくためには、観光開発とのバランスを取りつつ、保護管理体制の整備が求められます。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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