西天山

西天山
バグ, CC0, via Wikimedia Commons
カザフスタン共和国 ウズベキスタン共和国 キルギス共和国
登録区分自然遺産
世界遺産登録年2016年
登録基準(ⅹ)
その他の区分
公式テキストページ中巻221p
英文タイトルWestern Tien-Shan

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

西天山とは

果物の原種など貴重な植物が生育する山岳

西天山(Western Tien-Shan)は、中央アジアに広がる壮大な山岳地帯の一部であり、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタンの3か国にまたがっています。この地域は、2016年にユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されました。登録の理由は、世界的にも貴重な生物多様性と独自の生態系が広がっていること、そして地質学的・地形的に重要な自然景観を有していることです。

天山山脈は、中央アジア最大級の山脈であり、その西部にあたる「西天山」は、比較的低標高ながらも、非常に多様な動植物が生息していることで知られています。標高はおおむね800メートルから4,500メートルまでの範囲にあり、山地森林、草原、湿地、氷河といった多彩な自然環境が階層的に分布しています。この自然条件の多様性が、多くの固有種を生み出す要因となっています。

特に注目されるのは、果樹の野生種が多く見られる点です。この地域はリンゴやアンズ、ブドウ、クルミなど、現在世界中で栽培されている果実の原種が自生している「植物の遺伝的多様性の中心地」として知られており、植物学的にも大変重要な場所です。これらの野生種は、今後の食糧問題や気候変動への対応に向けた育種資源としても貴重な存在です。

また、野生動物の宝庫としても知られており、ユキヒョウ、ヒグマ、オオカミ、シベリアアイベックス、イヌワシなど、多様な哺乳類や猛禽類がこの地に生息しています。彼らは手つかずの自然環境の中で生態系のバランスを保っており、地域の生態的な健全性を示す指標ともなっています。

西天山の自然は、古くから地域の人々にとって生活の基盤でもありました。牧畜や伝統的な農業が山岳地帯の自然と調和しながら営まれており、人と自然が共生する文化が根づいています。そうした人々の暮らしは、過剰な開発が行われていないこともあり、自然環境への影響が比較的小さい状態で維持されています。

このように、西天山は生物多様性の保存、地球環境の理解、そして人と自然の共生の在り方を示す貴重な場所であり、世界遺産としてその価値を認められました。今後も、国際的な協力のもとで保全と持続可能な利用が進められていくことが期待されます。西天山は、自然の美しさと科学的・文化的価値を兼ね備えた、かけがえのない自然遺産です。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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