| 国 | スリランカ民主社会主義共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 自然遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2010年 |
| 登録基準 | (ⅸ)(ⅹ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻221p |
| 英文タイトル | Central Highlands of Sri Lanka |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
スリランカ中央高地とは
貴重な動植物が残る山岳雨林帯
スリランカ中部高地(Central Highlands of Sri Lanka)は、スリランカの内陸部に広がる山岳地帯であり、2010年にユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されました。この地域は、標高2,500メートル級の高地からなる生態系が残されており、希少な動植物が数多く生息することから、生物多様性の観点で極めて重要な自然地域とされています。
世界遺産に登録されたエリアは、「ホートン・プレインズ国立公園」、「ナックルズ保護森林」、「ピーク・ウィルダネス保護区」の3つの主要な保護地域から構成されています。これらの地域はスリランカ島の中央に位置し、高地特有の冷涼な気候と多雨環境が、多様な植生帯と独特な生態系を形成しています。高山森林、草原、雲霧林といった環境がモザイク状に広がっており、それぞれに固有の動植物が棲みついています。
特に植物の多様性は顕著で、スリランカ中部高地に自生する植物種のおよそ半数以上が固有種とされており、世界的にも貴重な遺伝資源の宝庫となっています。樹木やラン、シダ類などの植物相は、インド亜大陸の他地域とは異なる進化を遂げており、古くからの生態系がそのまま保たれていることが評価されています。
また、動物においても高い固有性が見られます。スリランカヒョウをはじめとする大型哺乳類、スリランカトクサンなどの固有鳥類、そして両生類や昆虫に至るまで、多種多様な生物が確認されています。特に両生類に関しては、絶滅の危機にある種が多く、国際的な保護活動の対象ともなっています。
この地域はまた、水源地としても重要な役割を担っています。スリランカの主要な河川の多くがこの高地から流れ出しており、島全体の水資源の供給源として不可欠な存在です。高地の森林は雨水を蓄え、ゆるやかに放出する働きを持ち、農業や生活用水を支える水循環を形成しています。
さらに、スリランカ中部高地は宗教的・文化的な意味でも特別な場所とされています。ピーク・ウィルダネスには「スリ・パーダ(アダムス・ピーク)」と呼ばれる霊峰があり、仏教徒、ヒンドゥー教徒、イスラム教徒、キリスト教徒の巡礼地として知られています。この山は、それぞれの宗教において聖なる足跡が残された場所と信じられており、自然と信仰が融合した独特の文化的景観が見られます。
このように、スリランカ中部高地は、地球規模で重要な自然遺産であり、生物多様性の保全、水資源の確保、そして人類の精神文化に関わる場として、高い価値を持っています。今後も持続可能な方法で自然環境と人間の営みを調和させながら、この貴重な地域を守り伝えていくことが求められています。

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