| 国 | インド |
|---|---|
| 登録区分 | 自然遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2012年 |
| 登録基準 | (ⅸ)(ⅹ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻222p |
| 英文タイトル | Western Ghats |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
西ガーツ山脈とは
世界的な生物多様性重要地域のひとつ
西ガーツ山脈(Western Ghats)は、インド亜大陸の西側に沿って南北に延びる山脈であり、2012年にユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されました。マハーラーシュトラ州からケーララ州にかけて全長1,600キロメートル以上にわたり広がるこの山脈は、インドで最も重要な生物多様性ホットスポットの一つとして知られており、その自然環境と生態系の豊かさが高く評価されています。
登録対象となったのは、8つの保護地域を含む39の個別の場所で構成された連続遺産であり、それぞれが異なる標高や気候、植生帯を有しているため、非常に多様な動植物の生息地となっています。西ガーツ山脈はインドのモンスーンに強い影響を与える地形的要因であり、降水量が多いことから熱帯性の湿潤な環境が広がっています。この豊かな自然条件の中で、多くの固有種や絶滅危惧種が育まれてきました。
特に植物の多様性は顕著で、約7,400種以上の植物が確認されており、そのうち1,500種以上がこの山脈にしか見られない固有種です。森林のタイプも多岐にわたり、熱帯常緑林、モンスーン林、乾燥落葉樹林などが分布しています。これらの森林は、炭素吸収源としての役割も果たしており、地球温暖化の緩和にも寄与しています。
動物相もまた非常に豊かで、アジアゾウやベンガルトラ、マカク、インドヒョウといった大型哺乳類に加え、両生類や爬虫類、鳥類、昆虫類にも多数の固有種が存在します。特に両生類においては、進化の過程が独自に進んできた結果、世界的に貴重な研究対象となる種が多く確認されています。
西ガーツ山脈はまた、インドの主要な河川の源流域でもあり、周囲の農村や都市にとって欠かせない水源となっています。森林が持つ水源涵養機能は農業、生活用水の供給だけでなく、生態系の安定にもつながっています。この地域の持つ自然資源は、周辺住民の生活と密接に結びついており、古くから伝統的な知識や資源利用の知恵が受け継がれてきました。
一方で、この山脈は文化的にも重要な位置を占めています。多くの寺院や巡礼地が山中に点在しており、自然と信仰が共存する精神的な空間としても人々に大切にされてきました。このような宗教的・文化的価値が、自然の保全と融合しながら継続されていることも、この遺産の特筆すべき点です。
このように、西ガーツ山脈はその豊かな生物多様性、地質的・気候的特性、文化的背景を含めて、総合的に非常に高い価値を有しています。現在も開発圧力が高まる中で、持続可能な管理と地域住民との協調が求められており、今後の保全活動が一層重要となっています。西ガーツ山脈は、人と自然が共に生きる未来を考えるうえで、大切な示唆を与えてくれる世界遺産です。

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