ヒルカニアの森林群

ヒルカニアの森林群
英語版Wikipedia, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
アゼルバイジャン共和国 イラン・イスラム共和国
登録区分自然遺産
世界遺産登録年2019年/2023年範囲拡大
登録基準(ⅸ)
その他の区分
公式テキストページ中巻225p
英文タイトルHyrcanian Forests

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

ヒルカニアの森林群とは

多様な動植物が見られるカスピ海南岸の森林群

ヒルカニア森林群(Hyrcanian Forests)は、イラン北部のカスピ海沿岸地域に広がる広大な森林地帯で、2019年にユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されました。この森林は、およそ850キロメートルにわたり帯状に連なり、東はトルクメニスタン国境付近から、西はアゼルバイジャンの国境地帯にまで及びます。その面積は約49万ヘクタールにおよび、イランでも有数の自然環境保護地域となっています。

ヒルカニア森林は、少なくとも2,500万年前の第三紀から存在するとされ、氷期に多くの地域で絶滅した植物種がこの地域で生き延びたことから、「生きた化石」ともいえる古代起源の森林と称されています。世界的にも類を見ないほどの生態学的な継続性と植物相の独自性を持ち、現在では多くの固有種や絶滅危惧種が生息する、地球規模で貴重な自然遺産と評価されています。

植物相は非常に豊かで、約300種の樹木・低木を含む、全体で約3,200種以上の維管束植物が確認されています。代表的な種には、カスピ海ブナ(Fagus orientalis)、ヒルカニアカエデ、イチイ、トチノキなどがあり、これらはヒルカニア森林特有の気候と土壌条件に適応して進化してきました。この森林はまた、東ヨーロッパと西アジアの植物分布をつなぐ重要な生態学的交差点でもあります。

動物相もまた多様で、ユーラシアヒョウやベアードヤマネコ、カスピカモシカといった大型哺乳類が生息しており、鳥類、両生類、爬虫類も数多く記録されています。とりわけ、絶滅の危機に瀕している種の保護区域としても重要であり、生物多様性のホットスポットとして国際的な注目を集めています。

地理的には、アルボルズ山脈とカスピ海の間に位置することで、海からの湿潤な空気が流れ込みやすく、年間を通して比較的高い降水量と穏やかな気温が維持されています。これにより、温帯湿潤気候に適した森林生態系が保たれ、他の中東地域とは一線を画す独自の自然環境が形成されています。

また、ヒルカニア森林は文化的にも意義深く、長い間人間の活動と関わりながらも、大部分が原生林としての姿を保ってきました。伝統的な森林利用や地域の生活文化も、森林と共生する歴史の一端を示しており、持続可能な利用と保護の両立が今後の課題となっています。

このように、ヒルカニア森林群は、古代から続く自然の記憶を今に伝える貴重な森林帯であり、その生態学的・地質学的な価値は極めて高いものです。生物多様性の保全とともに、気候変動への適応や科学的研究の拠点としても重要な役割を担っており、未来世代への継承が強く求められています。

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