| 国 | モンゴル国 ロシア連邦 |
|---|---|
| 登録区分 | 自然遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2017年 |
| 登録基準 | (ⅸ)(ⅹ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻235p |
| 英文タイトル | Landscapes of Dauria |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
ダウリアの景観群とは
多数の渡り鳥やモンゴリアンガゼルが見られる広大なステップ
ダウリアの景観(Landscapes of Dauria)は、モンゴルとロシア連邦にまたがる広大な草原と湿地の生態系を特徴とする自然遺産で、2017年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。この地域は、アジアの乾燥地帯と寒冷地帯が交差する過渡地帯に位置しており、極めて独特で多様な自然環境が形成されています。自然の周期的な変動が顕著に現れるこの地は、生物多様性の保全にとって極めて重要な役割を果たしています。
ダウリア地域の特徴的な景観は、広大な草原、低湿地、湖、森林、さらには山岳地帯までを含んでおり、乾湿の気候サイクルによって定期的に姿を変えるダイナミックな自然が見られます。これらの環境は、渡り鳥や哺乳類など多くの動植物にとって重要な生息地となっており、特に東アジア・オーストラリア渡りルートにおける中継地として国際的な価値を持ちます。
この地域には、絶滅の危機にあるシベリア・クレインやフタオビヅルといった希少な渡り鳥が定期的に訪れ、また、アジアに広く分布するモンゴルガゼルの重要な繁殖地・回遊ルートともなっています。これらの動物たちは、季節ごとに数百キロメートルに及ぶ移動を行い、地域の自然環境の健全さを保つ指標ともなっています。
また、ダウリアには、湿地と草原の相互作用によって形成された生態系が数多く存在しており、長期にわたる自然の遷移や気候の変動に対する生物の応答を観察する貴重な場ともなっています。このような自然のダイナミズムは、将来の気候変動研究や生物地理学の重要なモデルケースとして評価されています。
加えて、この地域には先住民の伝統的な牧畜や遊牧文化が今もなお息づいており、人と自然の共生関係が持続しています。自然と共に生きるという価値観が、今日においても生態系の保全に寄与しており、文化的・歴史的な観点からも重要な意味を持っています。
このように、ダウリアの景観は、その豊かな生態系と自然の変動性、人間との持続可能な関係性において極めて価値の高い地域であり、地球環境の多様性とその保護の意義を象徴する世界自然遺産です。

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