ヌビアの遺跡群:アブ・シンベルからフィラエまで

ヌビアの遺跡群:アブ・シンベルからフィラエまで
ベンジャミン・インバー, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
エジプト・アラブ共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年1979年
登録基準(ⅰ)(ⅲ)(ⅵ)
その他の区分
公式テキストページ中巻246p
英文タイトルNubian Monuments from Abu Simbel to Philae

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

ヌビアの遺跡群:アブ・シンベルからフィラエまでとは

危機を免れたプトレマイオス朝の遺跡群

「アブ・シンベルからフィラエまでのヌビアの遺跡群(Nubian Monuments from Abu Simbel to Philae)」は、古代エジプト文明がヌビア地方にもたらした宗教的・建築的な影響を今に伝える重要な文化遺産です。ユネスコ世界遺産には1979年に登録されており、ナイル川上流、エジプトとスーダンの国境付近に位置するこの一帯には、紀元前13世紀から紀元後初頭にかけて建てられた壮麗な神殿や記念碑が点在しています。特に著名なのがアブ・シンベル大神殿と小神殿、そしてフィラエ島のイシス神殿です。

アブ・シンベル神殿は、新王国時代のファラオ、ラムセス2世によって建設されました。岩山を掘りぬいて造られたこの大神殿の正面には、高さ約20メートルのラムセス2世の巨大な坐像が4体並び、壮麗な威容を誇ります。内部の至聖所では、年に2回、太陽の光が神像に届くよう設計されており、古代エジプトの天文学と建築技術の精密さを示すものです。隣接する小神殿は、王妃ネフェルタリのために建てられ、女神ハトホルに捧げられています。

フィラエ島のイシス神殿は、プトレマイオス朝時代からローマ時代にかけて建造され、エジプト神話における母なる女神イシスを祀る信仰の中心地でした。優美な列柱や彫刻が施された神殿群は、古代エジプト宗教の最後の拠点とされ、西洋と東洋の宗教文化が交差する貴重な証拠とされています。

これらの遺跡は、1960年代にアスワン・ハイ・ダム建設によって水没の危機に瀕しましたが、ユネスコ主導の国際的な協力のもとで移設され、現在の位置に保存されています。この救出活動は、世界遺産制度誕生のきっかけともなり、文化財保護の国際的意義を広く示しました。

アブ・シンベルからフィラエにかけての遺跡群は、古代エジプト文明の宗教的・建築的な精華を伝えるとともに、現代における国際的な文化財保護の模範ともなっています。これらの遺跡は、ファラオの威光、神への信仰、そして人類の協力の精神が融合した貴重な世界遺産として、今なお多くの人々を魅了し続けています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

コメント

コメントする

目次