| 国 | エチオピア連邦民主共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 1979年 |
| 登録基準 | (ⅱ)(ⅲ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻253p |
| 英文タイトル | Fasil Ghebbi, Gondar Region |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
ファジル・ゲビ、ゴンダールの遺跡群とは
エチオピア帝国の栄華を今に伝える王都
ファジル・ゲビ(Fasil Ghebbi)は、エチオピア北部の都市ゴンダールに位置する17世紀から18世紀にかけての王宮群で、エチオピア帝国時代の建築と権力の象徴として重要な文化遺産です。この地は、1636年に皇帝ファシラダスによってゴンダールが首都として定められたことをきっかけに、政治・宗教・文化の中心地として栄えました。ファジル・ゲビは、1979年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
ファジル・ゲビは、約7ヘクタールの広大な敷地を石造りの城壁で囲んでおり、その内部には皇帝の宮殿をはじめ、礼拝堂、宴会場、図書館、馬小屋、さらには貴族や宗教指導者たちの住居などが建ち並んでいます。建築様式は、アクスム王国以来の伝統的なエチオピア建築に加えて、ポルトガル、アラブ、インド、さらにはバロック様式の影響も見られる独特なもので、国際的な交流が反映された希少な事例です。
中心となるファシラダス宮殿は、堅固な石造りの4階建てで、角に配置された塔や高い壁が中世ヨーロッパの城郭建築を思わせる外観を持ち、当時のエチオピア皇帝の権威と威信を象徴しています。他にも、ヨハンネス1世やイヤス1世ら歴代皇帝の建造物が並び、それぞれの時代の政治的・宗教的背景を映し出しています。
宗教的にもこの地は重要で、近隣には多くの教会や修道院が存在し、特に12世紀以来のエチオピア正教会の伝統が色濃く残っています。また、ティムカット(公現祭)と呼ばれる祝祭が毎年1月に盛大に行われ、世界中から多くの信者や観光客が訪れます。
ファジル・ゲビの保存状態は比較的良好でありながら、地震や風化などによる損傷も見られ、現在は国内外の協力のもと、修復や保全活動が進められています。ファジル・ゲビは、エチオピア帝国の栄華を今に伝えるだけでなく、アフリカと世界の建築・文化の交流を象徴する貴重な遺産として高く評価されています。訪れる者は、壮大な石造建築群とともに、かつてこの地にあった帝国の歴史と精神を体感することができます。

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