聖なるモザイクが語る歴史:ヨルダン「ウンム・アッラサス(カストロム・メファア)」

ウンム・アッラサス(カストロム・メファア)
キャロル・ラダット, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
ヨルダン・ハシェミット王国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2004年
登録基準(ⅰ)(ⅳ)(ⅵ)
その他の区分
公式テキストページ中巻46p
英文タイトルUm er-Rasas (Kastrom Mefa’a)

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

ヨルダンの荒涼とした砂漠の中に、かつてローマ帝国の要塞都市として栄え、初期キリスト教の豊かな文化が花開いた場所があります。それが、ユネスコ世界遺産にも登録されている「ウンム・アッラサス(カストロム・メファア)」です。驚くほど保存状態の良いモザイク画が発見されたこの地は、ビザンツ帝国時代の繁栄と、キリスト教の発展を今に伝える貴重な証言です。

目次

ローマの要塞、キリスト教の聖地

ウンム・アッラサスの歴史は、紀元3世紀頃にローマ帝国の国境防衛線「リメス・アラビクス」の一部として、軍事拠点「カストロム・メファア」が建設されたことに始まります。その後、ビザンツ帝国時代にはキリスト教が盛んになり、多くの教会が建てられ、巡礼者が集まる聖地へと変貌を遂げました。

特に6世紀から8世紀にかけて、この地は経済的にも文化的にも最盛期を迎えました。しかし、イスラム勢力の到来と交易路の変化により、徐々に衰退し、最終的には砂漠の中に忘れ去られることになります。

見どころハイライト:鮮やかなモザイク画の宝庫

ウンム・アッラサス最大の魅力は、その地面を彩る壮麗なモザイク画にあります。特に保存状態の良い2つの教会跡が必見です。

聖ステファノス教会とモザイク画

ウンム・アッラサスで最も有名な見どころです。紀元785年に建設されたとされ、その床を覆うモザイク画は、驚くほど色彩豊かで精緻です。このモザイク画には、エジプトのナイル川デルタ地帯の都市が詳細に描かれており、当時の人々の地理的な知識や、地中海世界とのつながりを示しています。カイロやアレクサンドリア、ガザといった都市名がギリシャ語で記されており、これらの都市の景観が、上空から見たかのように俯瞰で表現されています。当時の人々の暮らしや信仰、そして芸術性の高さを、間近で感じられるでしょう。現在、モザイク画を保護するために屋根がかけられています。

聖セルギオス教会

聖ステファノス教会より古い時代に建てられたとされ、こちらも美しいモザイク画が残されています。幾何学模様や植物文様が中心ですが、その繊細なデザインは見る者を魅了します。また、教会の構造そのものからも、初期キリスト教建築の特徴を読み取ることができます。

柱状の塔(スタイライト・タワー)

遺跡の東側にそびえ立つ、高さ約15メートルの柱状の塔は、砂漠の景色の中でひときわ異彩を放っています。これは、修道士が修行のために住んでいた「柱上生活」の塔とされており、この地域の初期キリスト教における禁欲主義的な信仰形態を示す貴重な遺構です。塔の頂上には、かつて修道士が住んでいた小さな空間があります。

ローマ時代の要塞跡

モザイク画の教会群の近くには、かつてのローマ要塞の遺構が残されています。堅牢な石積みの壁や塔の基礎部分からは、ローマ帝国の広大な支配力をうかがい知ることができます。

ウンム・アッラサス観光のヒント

アクセス: ヨルダンの首都アンマンから南へ約30kmの場所に位置します。レンタカーを利用するか、アンマン発のツアーに参加するのが一般的です。公共交通機関は限られています。

ベストシーズン: 春(3月~5月)か秋(9月~11月)が、気候が穏やかで観光に適しています。夏は非常に暑く、日差しが強いので、十分な水分補給と日焼け対策を忘れずに。

時間: 小規模な遺跡ですが、モザイク画をじっくり鑑賞するなら、1〜2時間程度は見ておくと良いでしょう。

周辺の見どころ: マダバの「聖ジョージ教会」にある、世界最古のモザイク地図と合わせて訪れるのもおすすめです。

ウンム・アッラサスは、その静かな佇まいの中に、古代ローマの軍事力と、ビザンツ時代の豊かなキリスト教文化が息づく場所です。特に、千年以上前の人々が描いたとは思えないほど鮮やかなモザイク画は、訪れる人々を魅了してやみません。ヨルダンを訪れた際には、ぜひこの隠れた宝物を体験してみてください。

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