| 国 | イラク共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2007年 |
| 登録基準 | (ⅱ)(ⅲ)(ⅳ) |
| その他の区分 | 危機遺産 |
| 公式テキストページ | 中巻47p |
| 英文タイトル | Samarra Archaeological City |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
イラクのティグリス川東岸に広がる古代都市サーマッラーは、かつてイスラム帝国の中心として、歴史上類を見ない繁栄を極めた幻の都です。ユネスコ世界遺産にも登録されているこの場所は、8世紀にアッバース朝のカリフが築いた一時的な首都であり、その壮大なスケールと独自の建築様式は、当時のイスラム世界の強大な力を今に伝えています。
イスラム史上最大の宮殿都市
サーマッラーは、836年にアッバース朝のカリフ、ムウタスィムによって建設されました。当時、バグダードは人口過密と軍事上の問題に直面しており、カリフは新たな首都を求めてこの地を選んだのです。サーマッラーはわずか56年という短い期間しか首都ではありませんでしたが、その間に全長41kmに及ぶ広大な都市が築かれました。巨大なモスク、カリフの宮殿、兵舎、公園などが次々と建設され、最盛期には人口100万人を超える大都市であったと推定されています。
しかし、9世紀末に再び首都がバグダードに戻されると、サーマッラーは急速に衰退し、やがて砂漠の中に忘れ去られました。このため、都市の遺跡は破壊されることなく、当時の姿を比較的よく残しているのです。
見どころハイライト:壮大なスケールとユニークな建築
古代都市サーマッラーは、広大な範囲に遺跡が点在していますが、その中でも特に印象的な建造物をご紹介します。
マルフウィーヤの塔(螺旋ミナレット)

サーマッラーの象徴であり、イスラム建築の傑作として知られるマルフウィーヤの塔は、サーマッラーの大モスクに付属するミナレット(尖塔)です。高さ52メートルの螺旋状の構造は、古代メソポタミアのジッグラトから着想を得たとされており、上り坂を登って塔の頂上まで行くことができます。頂上からは、広大なサーマッラーの遺跡とティグリス川の美しい景色を一望でき、当時の都市の規模を肌で感じられます。
アブー・ドゥラフ・モスク
大モスクの北に位置するこのモスクもまた、壮大なスケールを誇ります。そのミナレットは、マルフウィーヤの塔に似た螺旋状の構造で、建築様式の独創性を示しています。モスクの内部は広大な中庭と列柱に囲まれ、当時の人々の信仰の中心であったことがうかがえます。
カリフの宮殿跡

サーマッラーには、いくつものカリフの宮殿が建設されました。特に有名なのがカシール・アル・アシクと呼ばれる宮殿で、その壮麗なレセプションホールや庭園の跡からは、カリフの権力と富の大きさが想像できます。また、アル・ムタワッキルの宮殿の跡も、その広大な敷地から当時の栄華を物語っています。
城壁と街路跡
サーマッラーの遺跡は、広大な都市のレイアウトをよく残しています。規則正しく配置された街路や、堅固な城壁の跡をたどれば、当時の都市計画の先進性と、その巨大な規模に驚かされます。
古代都市サーマッラー観光のヒント
古代都市サーマッラーは、現在のイラク情勢を考慮すると、一般的な観光が非常に困難な地域です。そのため、もし将来的に情勢が安定し、訪問が可能になった場合には、以下の点に留意すると良いでしょう。
アクセス: イラクの首都バグダードから北へ車で約125kmの場所に位置します。
ベストシーズン: 春(3月~5月)か秋(9月~11月)が、気候が穏やかで観光に適しています。
写真撮影: 遺跡は軍事的な管理下に置かれているため、撮影には制限がある場合があります。ガイドの指示に従いましょう。
サーマッラーは、イスラム文明の歴史、特にアッバース朝時代の文化と芸術を知る上で、かけがえのない場所です。広大な砂漠の中に眠るこの幻の都が、いつか再び多くの人々を迎え入れ、その壮大な歴史を語りかける日が来ることを願っています。
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