シ・テープの古代都市と関連するドヴァラヴァティ王国の遺跡群

シ・テープの古代都市と関連するドヴァラヴァティ王国の遺跡群
タイ王国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2023年
登録基準(ⅱ)(ⅲ)
その他の区分
公式テキストページ中巻41p
英文タイトルThe Ancient Town of Si Thep and its Associated Dvaravati Monuments

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

シ・テープの古代都市と関連するドヴァラヴァティ王国の遺跡群とは

古代インドの影響を強く受けたドヴァラヴァティ王国の遺跡群

タイ王国中部ペッチャブーン県に位置する「シ・テープの古代都市と関連するドヴァラヴァティ王国の遺跡群」は、古代東南アジアにおける都市国家の発展、宗教的表現、文化交流の痕跡を伝える重要な遺跡であり、2023年にユネスコの世界文化遺産として登録されました。シ・テープは6世紀から13世紀頃にかけて栄え、特にドヴァラヴァティ文化の南限にあたる地点として、モン族を主体とする文化圏の広がりと、クメール様式の浸透過程を物語る貴重な考古遺産です。

古代都市シ・テープは、ドヴァラヴァティ王国の一部として7世紀頃に発展を遂げ、後にクメール王朝の影響を受けながら、宗教都市としての性格を強めていきました。都市は外城と内城を備え、堀と土塁によって囲まれた構造をもち、さらに東側には大規模な貯水池「バーン・モー」が築かれ、水利と都市機能の融合が図られています。これにより、定住型農耕社会の発展と王権の統治基盤が形成され、宗教・行政の両機能を備えた拠点都市として繁栄しました。

遺跡の中心には、典型的なクメール様式の寺院建築「プラサート・シ・テープ」がそびえ、遺跡群における宗教的核を成しています。この祠堂はヒンドゥー教および後期には仏教信仰の場として機能し、建築様式や装飾彫刻はアンコール様式との密接な関係を示します。一方で、初期のドヴァラヴァティ様式を反映する仏像や石碑も出土しており、宗教的変遷や文化融合の様相がうかがえます。

注目すべきは、都市南東にある「ケーオ・モラコット丘陵」に築かれた「クメール式のリンガ信仰施設」で、聖なる山を象徴するこの丘は、古代インドの宇宙観を具現化した空間とされます。その頂上にはシヴァ神に捧げられたリンガが祀られ、都市全体に対する宗教的権威の象徴となっていました。

また、出土する土器や金属器、装飾品の数々からは、シ・テープが東南アジア各地と交易・文化交流を行っていたことが明らかであり、海上・陸上シルクロードの中継点としての性格も示唆されます。とりわけ、モン文化とクメール文化の接点としての役割は、シ・テープを独自の歴史的・文化的立場に位置づけています。

今日のシ・テープ遺跡群は、保存状態が良好であり、都市計画・宗教構造・芸術表現の各側面において、タイ古代史の解明における基盤的な遺産とされています。文化的多様性と歴史的継続性を同時に体現するこの遺跡は、地域のアイデンティティを超えて、人類の文明史における貴重な証言として位置づけられています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

コメント

コメントする

目次