| 国 | オマーン国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2018年 |
| 登録基準 | (ⅱ)(ⅲ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻49p |
| 英文タイトル | Ancient City of Qalhat |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
カルハットの古代都市とは
アラビア半島東岸の中心的な港として発展した古代都市
オマーン東部の海岸に位置するカルハットの古代都市は、13世紀から16世紀にかけてインド洋交易において重要な役割を果たした港湾都市であり、その歴史的・考古学的価値から2018年にユネスコの世界遺産に登録されました。この都市は、ペルシャ湾とインド洋を結ぶ航路の要衝に築かれ、アラビア半島、インド、アフリカ、さらには中国に至る広大な交易ネットワークの一端を担っていました。とりわけ、ホルムズ王国の支配下にあった時代には、王国の主要な港として政治的にも経済的にも大きな影響力を持ちました。
都市遺構には、防御用の城壁、商人の住居跡、倉庫、モスク、墓所などが確認されており、中でもビービー・メアリヤム廟と呼ばれる建造物は、この都市の宗教的権威と建築技術の高さを示す重要な遺産です。かつてのカルハットは、石造建築による堅固な都市設計を持ち、水の供給や貯水槽など都市インフラも高度に整備されていたと考えられています。また、発掘調査によって発見された中国製陶器やペルシャの装飾品などからは、当時の交易の盛況と、外来文化の影響が都市の生活に深く浸透していたことが読み取れます。
カルハットの都市遺跡は、単なる商業拠点にとどまらず、文化的・宗教的中心地としての性格も備えていました。イスラーム建築の影響を受けた遺構は、当時の宗教的実践と社会構造を反映し、都市の空間的構成にもそれが反映されています。また、旅行家の記録や地誌には、カルハットが中世において国際的に知られた港町であったことが記されており、地中海世界とアジアをつなぐ文化的な接点としての役割も担っていたことがうかがえます。
16世紀以降、交易路の変化や政治的要因によって都市は急速に衰退し、やがて放棄されました。しかし、遺跡に残された石造建築や文化財は、当時の繁栄とその背後にある広域的な海上交流の歴史を今に伝えています。カルハットは、アラビア半島における海洋交易文明の顕著な例証として、現代においてもその歴史的意義が高く評価されています。

コメント