タッタとマクリの歴史的建造物群

タッタとマクリの歴史的建造物群
A.サビン, FAL, via Wikimedia Commons
パキスタン・イスラム共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年1981年
登録基準(ⅲ)
その他の区分
公式テキストページ中巻55p
英文タイトルHistorical Monuments at Makli, Thatta

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

タッタとマクリの歴史的建造物群とは

3王朝の首都となったインダスの交易都市

タッタとマクリの歴史的建造物群は、パキスタン南部のシンド州に位置するイスラーム建築と墓制文化の優れた例として知られ、2013年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。タッタはかつてシンド地方の政治的・商業的中心地として栄えた都市であり、マクリはその近郊に広がる大規模な墓地遺跡で、13世紀から18世紀にかけての多くの支配者、宗教指導者、聖人たちの墓が集積しています。この二つの歴史的拠点は、ムスリム文化の繁栄と変遷を示す貴重な文化資産とされています。

マクリの墓地には、およそ8平方キロメートルにわたり数十万基の墓が存在するとされ、その中には石やレンガを用いた精緻な装飾を持つ霊廟や墓碑が点在しています。これらの建造物は、ティムール朝、サファヴィー朝、ムガル朝など、広範なイスラーム世界との文化的交流を背景に、ペルシア風、グジャラート風、中央アジア風の建築様式を融合させた独特の意匠が特徴です。装飾にはアラビア語の碑文、幾何学模様、花鳥図などが見られ、当時の技術と芸術の高さを示しています。

一方、タッタには16世紀から17世紀にかけて築かれたモスクや学問施設、浴場などが残っており、とりわけシャー・ジャハーン・モスクはその壮麗なドーム構造とタイル装飾で名高く、ムガル建築の発展を示す代表例とされています。タッタはインド洋交易の重要な港でもあり、海上交易を通じてインド亜大陸と中東・アフリカ地域を結ぶ要衝として発展しました。そのため、建築だけでなく碑文や墓の様式にも多文化的影響が見られます。

この地域の遺産群は、ただの墓地や都市遺構にとどまらず、信仰、政治、芸術が交錯する空間として、イスラーム文化の多様性と寛容性、そして国際的な文化交流の歴史を伝える重要な証人といえます。現在では、その保存と修復が進められており、持続可能な観光と地域コミュニティによる保全が課題となっています。タッタとマクリの歴史的建造物群は、インド・イスラーム建築の遺産としてだけでなく、人類の歴史的記憶を支える文化遺産として、国際的な価値を持っています。

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