デリーのフマユーン廟

デリーのフマユーン廟
インド
登録区分文化遺産
世界遺産登録年1993年/2016年範囲変更
登録基準(ⅱ)(ⅳ)
その他の区分
公式テキストページ中巻124p
英文タイトルHumayun’s Tomb, Delhi

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

デリーのフマユーン廟とは

ペルシア様式を導入したインド初のイスラム廟建築

フマユーン廟は、インドの首都デリーに位置するムガル帝国初期の代表的な建築遺産であり、16世紀に建造された皇帝フマユーンの霊廟です。この廟は、インド・イスラーム建築における革新的な設計と芸術性を示す重要な建築物であり、後のタージ・マハルをはじめとするムガル建築の原型とされています。1993年にユネスコの世界遺産に登録され、その歴史的・美術的価値が国際的にも認められています。

フマユーン廟の建設は、フマユーン皇帝の妃であったハージ・ベーグムの発願によって始まり、1565年に着工されました。建設には約8年が費やされ、1572年に完成したと伝えられています。設計はペルシア人建築家ミール・アブドゥル・ミールが手がけ、ペルシアとインドの建築様式を融合させた壮麗な様式が特徴です。これは、インドにおける初の庭園霊廟としても知られ、「チャールバーグ」と呼ばれる四分庭園の形式が取り入れられています。

霊廟の主建築は、高さ約47メートルの二重ドームを持つ壮大な赤砂岩と白大理石による構造で、対称性と幾何学的整合性が強調された設計となっています。ドームは建物の中心に据えられ、その周囲には細密に彫刻されたアーチや格子窓が配置されており、光と影の調和が空間に奥行きを与えています。建築全体は、ムガル美術の洗練と宗教的理念が融合した表現となっており、訪れる人々に荘厳さと静謐を感じさせます。

廟の敷地は、高い城壁に囲まれた広大な庭園で構成されており、4つの区画に水路と小道によって分けられた典型的なイスラーム式楽園庭園の構造を持っています。この庭園形式は、イスラーム教における「天国の庭」の観念を具現化したものであり、死後の安息と神聖な調和を象徴しています。庭園には、霊廟のほかにフマユーンの家族やムガル朝の高官たちの墓も点在しており、一帯は歴史的な霊域として整備されています。

また、フマユーン廟は建築だけでなく、ムガル帝国の歴史を語る上でも重要な役割を果たしています。フマユーンは、ムガル帝国を創設したバーブルの子であり、帝国の基盤を築いた人物です。彼の死後にこの霊廟が建てられたことは、皇帝の権威と威厳を建築によって永続させるというムガルの理念を体現しています。

現在、フマユーン廟は修復と保護が進められ、多くの人々が訪れる文化遺産となっています。その優雅で重厚な建築美と、歴史的意義の深さは、インドだけでなく世界の建築史においても特筆すべきものです。訪れる者は、静寂な庭園と壮麗な霊廟を通じて、ムガル帝国の栄光と文化の深さに触れることができるでしょう。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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