中世アナトリアの木造多柱式モスク群

中世アナトリアの木造多柱式モスク群
ドッセマン, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
トルコ共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2023年
登録基準(ⅱ)(ⅳ)
その他の区分
公式テキストページ中巻151p
英文タイトルWooden Hypostyle Mosques of Medieval Anatolia

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

中世アナトリアの木造多柱式モスク群とは

中世アナトリアで流行した木造列柱モスクの貴重な例

「中世アナトリアの木造多柱式モスク群」は、トルコ中部アナトリア地方に点在する、13~14世紀に建てられたイスラーム建築の一群で、特に木造の天井と多くの木柱を用いた独特の構造が特徴となっております。これらのモスクは、セルジューク朝およびその後継諸政権の時代に築かれ、アナトリアにおけるイスラーム文化の定着と地域的な建築様式の発展を示す貴重な遺産です。

登録対象となっているモスクは、アフィヨン・カラヒサールの「アフメト・シャヒッド・モスク」、ベイシェヒルの「エシュレフオール・モスク」、カスタモヌの「マフムット・ベイ・モスク」、シヴァスの「アスランハーネ・モスク」、およびコンヤの「シヴァ・モスク」などで、いずれも木材を多用した内部構造と精緻な装飾が印象的です。

これらのモスクに共通する建築様式は「多柱式」と呼ばれ、礼拝空間を木柱が林立するように支える設計が特徴です。使用されている木材は主に松や杉で、一本一本の柱には細かな彫刻が施され、植物文や幾何学文様、アラビア書体の浮彫などが見られます。このような技法はアナトリアの木工芸術の頂点を示しており、当時の職人の卓越した技術と美的感覚を物語っています。

木造であるにもかかわらず、これらのモスクが数百年にわたって保存されてきた背景には、地域の人々の信仰心と修復努力、そして乾燥した気候が大きく関わっています。また、建物自体が周囲の環境と調和するよう設計されており、都市景観に自然に溶け込む美しい佇まいを保っております。

加えて、これらのモスクは単なる宗教施設ではなく、地域社会の文化・教育の中心でもありました。礼拝に加えて、学びや集会の場としても機能しており、イスラーム教義の伝播や共同体の形成において重要な役割を果たしてきました。

2023年にユネスコ世界遺産に登録された本遺産は、アナトリアにおける中世イスラーム建築の独自性と多様性、そして木造建築の高度な技術的達成を示す例として高く評価されています。現存する木造多柱式モスクは世界的にも稀少であり、その保存状態の良さと建築的価値から、今後も文化的な遺産として後世に伝えていくことが求められています。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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