バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群

バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群
エファリド, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
アフガニスタン・イスラム共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2003年/2003年危機遺産登録
登録基準(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
その他の区分危機遺産 文化的景観 負の遺産
公式テキストページ中巻188p
英文タイトルCultural Landscape and Archaeological Remains of the Bamiyan Valley

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群とは

危機に瀕する仏教芸術の宝庫

バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群は、アフガニスタン中部に位置するヒンドゥークシュ山脈の山間に広がる、歴史的・宗教的に極めて重要な文化遺産です。この地域は、紀元前から東西を結ぶシルクロードの要衝として繁栄し、インド、ペルシア、中国、ギリシャなど多様な文化が交差・融合した地として知られています。とりわけ、仏教文化の伝播と発展において極めて重要な役割を果たした場所であり、紀元1世紀から13世紀頃にかけて、数多くの仏教寺院や僧院、彫刻群がこの地に築かれました。

この遺産の象徴的存在であるのが、6世紀に山肌を彫って造られた巨大な石造仏立像です。かつては高さ38メートルと55メートルの二体の大仏が並び立ち、世界最大級の立像仏として多くの巡礼者を惹きつけてきました。これらの仏像は、グプタ様式やガンダーラ様式の影響を受けたもので、東西文化の融合を示す貴重な芸術作品でありましたが、2001年に当時の政権によって破壊され、現在ではその空洞と破片のみが残されています。

しかし、バーミヤン渓谷の価値は単に仏像にとどまりません。谷全体には無数の石窟群が広がり、その内部には色鮮やかな壁画や仏教彫刻が今なお確認されます。これらの石窟は、仏教僧侶たちの修行と礼拝の場であり、信仰の中心地として長きにわたって機能してきました。また、ゾロアスター教やイスラームの影響を受けた遺構も谷の各所に見られ、多様な宗教的伝統が重層的に刻まれた場所でもあります。

地理的には、渓谷は標高2,500メートルほどに位置し、周囲の山々と肥沃な平地によって形成される自然環境と調和した景観を有しています。この自然と人間の活動が一体となった文化的景観こそが、ユネスコによって「文化的景観」としても評価された理由の一つです。2003年に世界遺産に登録されると同時に、深刻な損傷と保存の危機に直面していることから「危機にさらされている世界遺産リスト」にも掲載されました。

現在、国際的な協力のもとで保存修復作業が進められており、破壊された仏像の痕跡を記録し、可能な範囲で文化財を保護する取り組みが続けられています。バーミヤン渓谷は、過去の破壊の記憶とともに、人類の文化遺産を守る重要性を象徴する場でもあります。今後も、歴史の証言者として、その価値が継承されていくことが期待されます。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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