| 国 | イスラエル国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2005年 |
| 登録基準 | (ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻35p |
| 英文タイトル | Biblical Tels – Megiddo, Hazor, Beer Sheba |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
聖書ゆかりの遺丘群:メギド、ハゾル、ベエル・シェバとは
聖書に登場した古代都市の遺跡丘
イスラエルに所在するメギド、ハゾル、ベエル・シェバは、旧約聖書にもたびたび言及される古代都市であり、長い時代にわたる人類の居住と都市発展の過程を物語る遺跡群です。それぞれの遺丘(テル)は、紀元前3千年紀から紀元前1千年紀にかけての都市文明の繁栄と衰退を示す層状の構造を持ち、考古学的にも極めて価値の高い場所とされています。2005年に「聖書ゆかりの遺丘群:メギド、ハゾル、ベエル・シェバ」としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。
メギドは、エジプト、新バビロニア、アッシリアといった古代帝国の支配を受けながらも、要衝の地として繁栄した都市であり、軍事・宗教の中心地でもありました。「ハル・メギド」(メギドの山)という名称は、「アルマゲドン(最終戦争の地)」の語源ともなっており、黙示録的な象徴を持つ地としても知られます。遺跡からは、壮大な城門、神殿跡、貯水施設などが出土しており、都市計画と防衛機構の高度さがうかがえます。
ハゾルは、紀元前2千年紀後半において北イスラエル最大の都市国家の一つであり、カナン人の政治・経済・文化の中心地として栄えました。旧約聖書では「イスラエルによって滅ぼされた都市」として記述されており、その征服と再建の歴史は考古学的にも明確に確認されています。遺構には巨大な城門や王宮跡、宗教施設、貯蔵庫群などがあり、複雑で高度な都市構造を示しています。また、多くの楔形文字を含む粘土板の出土は、ハゾルが中東地域の外交・文化交流の拠点であったことを物語っています。
ベエル・シェバは、乾燥地帯に築かれた防衛都市であり、旧約聖書ではアブラハムやイサクの物語に登場することから、信仰の聖地としても位置づけられています。紀元前1千年紀においては、南部の防衛と水の管理において重要な役割を果たしました。遺跡には、明確に区画された都市構造、祭壇、貯水システム、行政施設が残っており、当時の社会制度や宗教慣習を理解するうえで重要な証拠とされています。特に地下水路や井戸の技術は、過酷な気候の中でも都市を維持するための工夫が凝らされており、古代の水資源管理の優れた実例として注目されています。
これら三つの遺丘は、都市国家の成立と発展、王権の形成、戦争と信仰、異文化との接触といった古代中東世界の核心的テーマを内包しています。また、考古学と聖書学の交差点として、宗教的・文化的研究においても極めて重要です。それぞれの遺跡から得られる証拠は、聖書に記された出来事の歴史的実態を検証するための貴重な手がかりともなっています。
今日、これらの遺跡は整備され、訪問者に対して古代の都市文明の様相を体感できる場となっており、聖書的伝承と歴史的現実の接点を探る旅の拠点として、多くの人々にとって精神的・文化的意義を持つ場所です。

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