| 国 | トルコ共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2012年 |
| 登録基準 | (ⅱ)(ⅳ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻166p |
| 英文タイトル | Neolithic Site of Çatalhöyük |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
チャタルヒュユクの新石器時代の遺跡とは
人類の定住生活への適応を示す新石器時代の遺跡
チャタルヒュユクは、トルコ中南部のアナトリア地方に位置する新石器時代の大規模な遺跡であり、人類最古級の都市的定住地として知られています。この遺跡は、紀元前7400年頃から紀元前6200年頃にかけての約1200年間にわたって繁栄したとされ、2012年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。考古学的な重要性に加え、当時の社会構造や精神文化、技術的発展を知る上で貴重な手がかりを提供する点が評価されています。
チャタルヒュユクは、一般的なイメージの「都市」とは異なり、防御的な城壁を持たず、住居が密集して積み重なるようにして形成された独特な構造を持っています。建物は日干し煉瓦で造られ、各家屋は屋根の上を通って出入りする仕組みとなっており、梯子によって内部に降りる方式が採られていました。道路らしい通路がなく、建物同士が壁を共有する形で並んでいることから、居住空間の効率的な利用と共に、防衛上の機能も果たしていたと考えられています。
住居の内部には、多くの壁画やレリーフ、装飾が施されており、そこには動物、狩猟、神秘的な図像などが描かれております。これらの装飾は、当時の人々の宗教的信仰や自然観、死生観を示す貴重な資料です。また、家屋の床下には埋葬された遺体が見つかっており、家族や祖先とのつながりを重視する文化的特徴が見て取れます。
考古学的調査によって、チャタルヒュユクでは農耕と牧畜が発達していたことも確認されております。周辺の自然環境を活かし、小麦や大麦の栽培、ヤギや羊の飼育が行われていたとされます。さらに、石器や骨製の道具、装飾品、交易品なども多数出土しており、当時すでに高度な生産活動と物資の流通が存在していたことが示されています。
特筆すべきは、社会構造において明確な階層性が見られない点です。出土した家屋や墓からは、貧富の差や権力の集中を示す証拠が乏しく、比較的平等な共同体であった可能性が指摘されています。男女間の役割においても、明らかな格差が見られず、性別を超えた協働的な社会が形成されていたことがうかがえます。
このように、チャタルヒュユクの遺跡は、人類が狩猟採集から定住農耕へと移行する過程で、どのような生活様式や社会構造を築いたのかを明らかにする上で、極めて重要な文化的証拠を残しています。古代の人々の知恵と営みを今に伝えるこの遺跡は、私たちに人類の根源的な暮らしと精神性を問いかける貴重な遺産であるといえます。

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