| 国 | インド |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2004年 |
| 登録基準 | (ⅲ)(ⅳ)(ⅴ)(ⅵ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻53p |
| 英文タイトル | Champaner-Pavagadh Archaeological Park |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
チャンパネール ‐ パーヴァガドゥ遺跡公園とは
ムガル帝国支配以前の都市の姿を伝える遺跡
チャンパネール ‐ パーヴァガドゥ遺跡公園は、インド西部グジャラート州の大地に広がる、歴史的・宗教的・建築的に重要な複合遺跡群です。西ガーツ山脈の裾にあるパーヴァガドゥ丘陵とその麓に築かれた都市チャンパネールは、8世紀から16世紀にかけて繁栄した地域であり、イスラーム、ヒンドゥー、ジャイナといった多様な文化が共存・融合した遺構が残されています。2004年にはユネスコの世界遺産に登録され、インド亜大陸における中世都市文化の貴重な証として高く評価されています。
この遺跡群は、自然の丘陵と人の手による都市計画が調和した景観を成しており、要塞、防御施設、王宮跡、モスク、寺院、貯水槽、住宅跡、墓廟など、多様な建造物が点在しています。特に注目されるのが、ムスリム王朝のマフムード・ベガラーによって15世紀末に整備された都市計画です。彼は当時の首都をアーメダバードからチャンパネールに移し、ここに壮麗なモスクや行政施設を建設して新たな王都を築きました。
建築物の中でもとりわけ重要なのが、「ジャーミ・マスジド」と呼ばれる大モスクです。このモスクはインド・イスラーム建築の傑作とされ、ペルシャ・イスラーム様式とヒンドゥー建築様式が融合した独自の構造美を示しています。石造の柱廊、高く装飾的なミフラーブ(礼拝の方角を示す壁のくぼみ)、精緻な透かし彫りの窓などが、優れた技術と美的感覚を伝えています。ジャーミ・マスジドを含む多数のモスクは、現在も良好な保存状態にあり、当時の宗教的・社会的機能を偲ばせます。
また、パーヴァガドゥ丘陵には古くからのヒンドゥー教とジャイナ教の聖地が存在しており、これらの寺院群はチャンパネール以前から続く信仰の場として今日まで巡礼者を集めています。とりわけ、「カーリー・マータ寺院」はヒンドゥー教徒にとって重要な女神信仰の中心地であり、山頂に位置するその姿は、宗教と自然の結びつきを象徴する存在となっています。
都市遺跡の全体像は、壮大な規模の都市設計を反映しており、道路、給水システム、住宅区画が計画的に配置されています。このことは、15世紀のインドにおいて高度な都市行政が行われていたことを示す証左であり、考古学的にも建築史的にも非常に意義深いものです。
チャンパネール ‐ パーヴァガドゥ遺跡公園は、政治、宗教、生活の諸相がひとつの地域に凝縮された稀有な遺跡であり、インドにおける多文化的都市発展の歴史を今に伝える貴重な文化遺産です。

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