クラック・デ・シュヴァリエとカラット・サラーフ・アッディーン

クラック・デ・シュヴァリエとカラット・サラーフ・アッディーン
シュヴルン, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons
シリア・アラブ共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2006年/2013年危機遺産登録
登録基準(ⅱ)(ⅳ)
その他の区分危機遺産
公式テキストページ中巻101p
英文タイトルCrac des Chevaliers and Qal’at Salah El-Din

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

クラック・デ・シュヴァリエとカラット・サラーフ・アッディーンとは

十字軍時代を代表するふたつの城塞

クラック・デ・シュヴァリエとカラット・サラーフ・アッディーンは、シリアに位置する中世の要塞であり、2006年にユネスコの世界文化遺産に「クラック・デ・シュヴァリエとカラット・サラーフ・アッディーン(サラディンの城)」として一括で登録されました。両者は十字軍とイスラーム勢力との対立の歴史を物語る象徴的な建造物であり、中世軍事建築の到達点とも称されています。

クラック・デ・シュヴァリエは、シリア西部の山岳地帯に築かれた要塞で、十字軍が聖地を巡る戦いの中で築いた最も堅固な拠点の一つです。12世紀から13世紀にかけて、聖ヨハネ騎士団(ホスピタル騎士団)の管理下で拡張され、外壁と内城から成る二重の防御構造、塔状の砦、兵舎、礼拝堂、水の供給設備などが整備されました。その堅牢さと合理的な設計は、後世の城郭建築に多大な影響を与えました。城壁の厚さは数メートルにも及び、傾斜のある土塁や防御用の通路などが巧みに組み合わされ、当時の軍事技術の粋を示しています。

一方、カラット・サラーフ・アッディーン(カラアト・サラーフ・アッディーン、またはサラディンの城)は、シリア北西部、海岸近くの山中に位置し、戦略的に極めて重要な場所に築かれました。もともとはビザンツ時代に起源を持ち、十字軍時代に拡張され、その後サラーフ・アッディーン(サラディン)によってイスラーム勢力の手に戻されました。険しい崖の上に築かれたこの城は、自然の地形を活かした防御が特徴であり、切り立った渓谷を跨ぐ橋や、岩を穿って造られた防御壁が印象的です。

両城塞は、それぞれ異なる文化的背景を持ちながら、軍事建築として極めて高い完成度を誇ります。また、キリスト教とイスラームの接触と対立、そして文化的交差点としての中東の歴史を象徴する存在でもあります。これらの要塞は、戦略的、建築的、美的観点から極めて高い価値を持ち、今日では中世建築の貴重な証拠として保護されています。

現在ではいずれの城塞も保存整備が進められており、歴史的意義と建築美の双方から、多くの研究者や訪問者に注目されています。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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