ダマスカスの旧市街

ダマスカスの旧市街
シリア・アラブ共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年1979年/2011年範囲変更、2013年危機遺産登録
登録基準(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
その他の区分危機遺産
公式テキストページ中巻71p
英文タイトルAncient City of Damascus

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

ダマスカスの旧市街とは

聖書に記された世界最古の都市のひとつ

ダマスカスの旧市街は、シリアの首都ダマスカスの中心部に位置し、1980年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。この都市は人類史上最古の都市のひとつとされ、紀元前3千年紀にはすでに人が定住していたと考えられています。以来、アラム人、ローマ人、ビザンツ人、ウマイヤ朝、アッバース朝、オスマン帝国など、数多くの文明がこの地を支配し、それぞれの痕跡を旧市街に刻み込んできました。

旧市街は、現在でも古代の都市構造を多くとどめており、細い路地と石造建築が密集した独特の景観が広がっています。東西に走る「ストレート・ストリート(ストラーダ・レクタ)」は、古代ローマ時代の都市設計の名残で、現在も商業活動が盛んに行われており、都市の骨格として機能しています。さらにその周囲にはキリスト教、イスラーム、ユダヤ教の聖地が共存しており、多宗教・多文化の都市としての歴史的な深みを物語っています。

特に注目すべき建造物として、ウマイヤ・モスクが挙げられます。8世紀初頭、ウマイヤ朝のカリフ、ワリード1世によって建設されたこのモスクは、初期イスラーム建築の傑作として知られています。それ以前にはローマ神殿やキリスト教会があった場所であり、宗教施設としての連続性も非常に象徴的です。広大な中庭と荘厳な礼拝堂、精緻なモザイク装飾が訪れる人々を魅了し続けています。

また、ダマスカスの旧市街には、かつての邸宅を改装した伝統的な家屋やキャラバンサライ(隊商宿)、公共浴場(ハマーム)、市場(スーク)などが点在しており、中世から近世にかけての都市生活の様相を今に伝えています。これらの建物は、石造または日干し煉瓦を用いた建築様式で統一されており、調和の取れた都市景観を形成しています。

キリスト教徒地区であるバーブ・トゥーマ門周辺には、多くの教会や修道院が存在し、聖パウロゆかりの地として巡礼者にも親しまれています。また、ユダヤ人地区には古いシナゴーグが残されており、かつての宗教的多様性の証といえるでしょう。

このように、ダマスカスの旧市街は、数千年にわたり多くの文化が交差し、重層的に積み重なった都市空間です。その歴史的・宗教的・建築的価値はきわめて高く、人類の文明史において重要な役割を果たしてきました。現在も多くの住民が暮らし、信仰と生活が息づくこの場所は、過去と現在が融合する特別な遺産として、世界中の注目を集めています。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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