登封の歴史的建造物群-天地之中

登封の歴史的建造物群-天地之中
张骐, パブリックドメイン, via Wikimedia Commons
中華人民共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2010年
登録基準(ⅲ)(ⅵ)
その他の区分
公式テキストページ中巻163p
英文タイトルHistoric Monuments of Dengfeng in “The Centre of Heaven and Earth”

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

登封の歴史的建造物群-天地之中とは

歴代王朝から庇護を受けた天地の中心

登封の歴史的建造物群-天地之中は、中国河南省の嵩山(すうざん)地域に位置する、儒教、道教、仏教が共存しながら発展してきた宗教・思想・科学の中心地です。2010年にユネスコの世界遺産に登録されたこの遺産群は、古代中国における宇宙観や政治理念を反映した建築群を今に伝えており、「天地之中(てんちのなか)」という名称は、古来よりこの地が宇宙の中心であり、天と地をつなぐ聖なる場所と考えられていたことに由来します。

遺産を構成する建造物は8つあり、その中でも特に有名なのが、少林寺とその塔林(墓塔群)、中岳廟、嵩陽書院、観星台などです。少林寺は中国仏教禅宗の発祥地であり、武術の中心地としても世界的に知られています。塔林には歴代の高僧たちの墓塔が並び、その建築様式は時代ごとの宗教的・技術的変遷を示しています。

中岳廟は、道教の聖地として尊ばれる嵩山に鎮座する最大の廟であり、漢代からの歴代王朝がこの地で天命の正統性を確認するために祭祀を行ってきました。その壮麗な構造は、中国古代建築の傑作とされています。嵩陽書院は中国四大書院の一つに数えられ、宋代の儒学の発展に大きな役割を果たしました。学問と精神修養の場として多くの儒者を輩出したこの書院は、知の伝統の象徴といえます。

また、元代に建設された観星台は、中国古代天文学の実践拠点として知られています。この施設は、科学的観測と天体運行の記録のために用いられ、当時の高度な知識と技術を今に伝える貴重な遺構です。

これらの施設群はそれぞれ異なる宗教・思想・学問を象徴していますが、すべてが「天地の秩序」を人間社会に投影しようとする思想のもとに築かれました。その統一的な理念は、中国文明の根底にある宇宙観や政治哲学と深く結びついており、王権の正当性や社会秩序の安定にも重要な意味を持っていました。

登封の歴史的建造物群は、宗教、科学、学問が融合した希有な文化的景観であり、約2000年にわたる思想と建築の結晶を通じて、中国古代文明の核心を現代に伝える貴重な遺産となっています。

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世界遺産ハントの管理人。

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