| 国 | イラク共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2014年 |
| 登録基準 | (ⅳ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻100p |
| 英文タイトル | Erbil Citadel |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
エルビル城砦とは
アッシリア帝国に遡る可能性を秘めた卵型円丘
エルビル城砦(Erbil Citadel)は、イラク北部のクルディスタン地域に位置する古代都市エルビルの中心に築かれた歴史的な要塞です。およそ4,000年以上の歴史を持つとされ、人類が継続的に居住してきた世界最古の都市の一つと考えられています。標高約25メートルの人工的な丘の上に築かれており、その高台は時代を経て何層もの建築が重なってできた「テュムル」と呼ばれる地形を形成しています。
城砦は楕円形の形状をしており、外周は約430メートルにおよび、高い外壁が周囲を取り囲んでいます。主要な入口は南側に位置する門で、石造と煉瓦による重厚な構造が見られます。内部には住宅、宗教施設、公共広場などが配置され、古代から近代に至るまでさまざまな時代の都市生活の痕跡が残されています。
エルビル城砦は、アッシリア、サーサーン、イスラーム時代など複数の文明の影響を受けながら発展してきました。そのため、遺構や建築の様式には多様な文化的要素が反映されています。特にオスマン帝国時代の家屋群が保存状態よく残っており、19世紀から20世紀初頭にかけての都市構造を今に伝えています。
この場所は宗教的・商業的にも長い歴史を有しており、地域の交通と交易の要衝として機能してきました。周辺にはスーク(市場)やモスクなども整備され、地域社会の中心的な役割を果たしてきたことが分かります。また、内部には近年まで人々が居住していたため、現代と古代が交差する特異な文化空間となっています。
2014年には「エルビルの城塞、モスク、ミナレット」としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。これは、都市の連続的居住と建築文化の継承が評価されたものであり、歴史・考古学・都市計画の観点からも極めて重要な遺産です。
現在では修復と保存の取り組みが進められており、未来に向けてその歴史的価値を伝えるための整備が続けられています。エルビル城砦は、中東の文明史を理解するうえで欠かせない象徴的存在であり、今なお多くの研究者と訪問者を引きつけています。

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