『八萬大蔵経』版木所蔵の海印寺

ローレン・ヘックラー, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
大韓民国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年1995年
登録基準(ⅳ)(ⅵ)
その他の区分
公式テキストページ中巻146p
英文タイトルHaeinsa Temple Janggyeong Panjeon, the Depositories for the Tripitaka Koreana Woodblocks

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

『八萬大蔵経』版木所蔵の海印寺とは

現存最古の大蔵経版木が眠る古刹

海印寺(ヘインサ)は、大韓民国慶尚南道伽倻山(カヤサン)の中腹に位置する仏教寺院で、特に「八萬大蔵経(パルマン・テジャンギョン)」と呼ばれる大蔵経の木版を所蔵することで世界的に知られています。この寺院は新羅時代の802年に創建され、その後幾度も修復を経ながら、現在に至るまで仏教の中心地としての役割を果たしてきました。

「八萬大蔵経」は、高麗時代の13世紀に彫られた膨大な仏典の木版印刷物であり、その数は約8万枚に達します。これは仏教の経典、律、論を網羅する一大叢書で、仏教の教義を体系的にまとめたものでありながら、そのすべての版木が現存し、完全な形で保存されているという点で、世界的にも極めて貴重な文化遺産となっています。高麗時代の知識と技術が結集されたこの木版本は、単なる宗教的な資料にとどまらず、当時の印刷技術、文字文化、芸術性を伝える重要な歴史資料といえます。

この八萬大蔵経を収蔵するのが、海印寺境内にある「蔵経板殿(チャンギョンパンジョン)」という特別な建物です。この建物は14世紀に建造され、木版を長期間安定した状態で保管するための構造的工夫が随所に見られます。例えば、自然換気を促すために壁や床には大小の通風口が設けられ、湿気や害虫を防ぐための独自の設計が施されています。さらに、建物の方角や風の通り道、太陽の光の入り具合などが計算された配置となっており、現代の保存技術に匹敵する精巧さが評価されています。

海印寺とその蔵経板殿、そして八萬大蔵経の木版は、宗教・文化・科学の融合による人類の遺産として極めて高く評価され、1995年にユネスコの世界遺産に登録されました。これは単なる建築物や宗教施設の登録にとどまらず、人類の知的・精神的営為の結晶としての価値を認められた結果といえます。

現在も海印寺は、仏教の修行道場として、多くの僧侶が日々の研鑽を積む場であると同時に、一般の参拝者や訪問者にとっても、精神的な安らぎと歴史的価値を感じることができる場所となっています。四季折々の自然に囲まれた伽倻山の景観とともに、訪れる人々に深い感動と学びを提供しています。海印寺は、韓国の文化的誇りであると同時に、世界の人々に仏教文化の偉大さと歴史の重みを伝える貴重な場所であり続けています。

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