紅河ハニ族棚田群の文化的景観

紅河ハニ族棚田群の文化的景観
中華人民共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2013年
登録基準(ⅲ)(ⅴ)
その他の区分文化的景観
公式テキストページ中巻196p
英文タイトルCultural Landscape of Honghe Hani Rice Terraces

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

紅河ハニ族棚田群の文化的景観とは

1300年にわたる人と自然の調和を示す棚田群

中国雲南省南部、紅河ハニ族イ族自治州に位置する紅河ハニ族棚田群の文化的景観は、山岳地帯における人間と自然の長きにわたる調和的共生を物語る貴重な世界遺産です。この棚田群は、主にハニ族を中心とする少数民族によって約1300年前から築かれ、今日に至るまで受け継がれてきた壮大な農業景観であり、2013年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。

対象地域は、哀牢山脈の急峻な山腹に広がる標高約1000メートルから2000メートルの範囲で、特に元陽県の青口、箐口、老虎嘴の三つの村落を中心とした約16,600ヘクタールの棚田地帯が登録対象となっています。これらの棚田は、谷底から山頂に至るまで幾層にも重なるように配置され、まるで山全体が段々畑に覆われたような壮観な景観を生み出しています。

この棚田システムの根幹をなすのは、水資源の巧みな管理にあります。ハニ族の人々は、山頂に広がる自然林を保全し、そこから湧き出す水を巧妙に利用して、灌漑路や貯水池を経由して棚田に配水しています。この仕組みは自然生態系と密接に連動しており、森林、村落、棚田、水系が一体となった持続可能な生活環境を形成してきました。

また、ハニ族の文化や社会構造はこの農業システムと密接に結びついており、伝統的な建築や衣装、祭礼などにもその影響が色濃く反映されています。例えば、棚田の神を祀る「棚田祭」や、収穫を祝う儀式などが季節ごとに行われ、自然への感謝と共同体の結束を育んできました。

建築面では、村落は山の中腹に築かれ、粘土を用いた伝統的な「きのこ形家屋」が特徴的です。屋根が丸みを帯びたこの構造は、湿気を防ぎ気候に適応する知恵を体現しています。また、村落には共同の広場や水場、家畜小屋が整備され、共同体としての協力と持続的生活が実現されています。

紅河ハニ族棚田群の文化的景観は、厳しい自然環境における人間の適応と創意、そして世代を超えて受け継がれる知識と精神の結晶であり、自然と文化が一体となった世界的に希有な遺産です。この地に根づいた農耕文化と景観は、現代においても多くの示唆を与える存在となっています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

コメント

コメントする

目次