| 国 | 中華人民共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 自然遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2017年 |
| 登録基準 | (ⅶ)(ⅹ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻235p |
| 英文タイトル | Qinghai Hoh Xil |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
青海フフシル(可可西里)とは
貴重な山岳生態系が息づく標高4500m超の高地
青海可可西里(チンハイ・ココシリ、Qinghai Hoh Xil)は、中国青海省の西部に位置する、標高約4,500メートルの高原地帯に広がる自然保護地域であり、2017年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。この地域はチベット高原の一部であり、人類の定住がほとんど見られない世界でも最も人の手が入っていない場所の一つとされています。広大な面積を誇る可可西里は、独特な高原の生態系を守る貴重な自然遺産です。
この遺産の最大の特徴は、希少動物であるチベットカモシカ(チルー)の重要な生息・繁殖地であることです。チルーは20世紀後半、密猟のために個体数が著しく減少しましたが、厳格な保護政策と現地の巡回パトロールによって現在は回復傾向にあります。毎年初夏になると、数千頭の雌のチルーが標高の高い地域まで移動し、安全な場所で出産を行うという、自然界の壮大な営みが繰り広げられています。
また、可可西里は極端な自然条件の中でも豊かな生物多様性を保っており、チベットガゼル、オオカミ、ユキヒョウ、チベットノウサギなどの野生動物のほか、多数の希少な高山植物が生育しています。乾燥した高原気候、強風、低酸素といった過酷な環境の中で進化した生物たちは、それぞれに独自の適応を遂げており、学術的にも高い価値を持っています。
この地域のもう一つの注目すべき点は、ほとんど人為的な開発が行われていないことです。居住者はほとんどおらず、自然本来の姿が保たれているため、地球上でも最も原始的な高地生態系の一つと評価されています。そのため、地球規模での気候変動の影響や生態系の変化を観察する上でも極めて重要な観測地点となっています。
さらに、可可西里はチベット文化圏に位置し、現地の保護活動にはチベット系住民が深く関わっています。自然と共に生きる精神が今もなお息づいており、生態系保全と地域文化の共存が実現している好例といえます。
青海可可西里は、広大な高原、厳しい自然環境、そして希少な野生動物たちが織りなす壮麗な自然景観を有し、私たち人類に自然の尊さとその保全の重要性を改めて教えてくれる世界遺産です。

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