| 国 | ベトナム社会主義共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 1993年 |
| 登録基準 | (ⅲ)(ⅳ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻43p |
| 英文タイトル | Complex of Hué Monuments |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
フエの歴史的建造物群とは
中国風と西洋風が融合したグエン朝の都
フエの歴史的建造物群は、ベトナム中部に位置するフエ市にある、19世紀の阮朝時代の宮殿群や関連する建造物を含む世界文化遺産です。この地域は、1802年から1945年までベトナムの首都として栄え、ベトナム歴史の重要な時期を象徴する建築群が集まっています。ユネスコは、1993年にフエの歴史的建造物群を世界遺産に登録しました。その理由は、フエの建築群が当時の王朝の政治、宗教、文化を反映していること、また東洋と西洋の建築様式が融合した例として貴重であるためです。
フエは、阮朝の初代皇帝であるグエン・フエ(または阮福暎)の命により、1802年に王朝の首都として建設されました。フエの都市設計は、中国の影響を受けた「風水」の理論に基づき、厳密に計画されました。中心には「皇宮」と呼ばれる王宮が位置し、その周囲には多くの寺院や門、宮殿、庭園などが配置され、権力と宗教の象徴となっています。
フエの王宮(皇宮)は、その規模と威厳から特に注目されます。この王宮は、外郭と内郭から構成され、外郭は防衛を目的とした城壁で囲まれています。王宮の中には、皇帝が日常的に使用した宮殿、儀式や行事が行われる「大内院」、そして皇帝や高官が住む「内府」などが含まれ、また、王宮の中庭には数多くの庭園や池が設けられ、自然と調和した美しい風景が広がっています。特に「玉座の間」や「天帝殿」などは、権力の象徴として重要な儀式が行われた場所です。
フエの建築には、東西融合の特徴が見られます。伝統的な中国の宮殿建築と西洋の技術が融合したデザインが特徴的であり、そのスタイルは当時の政治と文化の変遷を反映しています。例えば、フエの建物には西洋のバロック様式の影響が見られ、屋根の装飾や宮殿の内部装飾などにその痕跡が残っています。これは、フランスの植民地支配が始まる前の時代における、国際的な交流と文化的な影響の証拠です。
また、フエの王宮以外にも、宗教施設や墓所が点在しており、これらもまたフエの重要な遺産です。例えば、「ティエンムー寺」は、17世紀に建てられた仏教寺院で、現在もフエ市を象徴する寺院として広く知られています。さらに、皇帝の墓地もフエの名所で、特に「カイディン帝の墓」などは壮麗で独特な建築が特徴です。これらの墓地は、王朝の権力を象徴し、皇帝が死後に訪れる場所として設計されています。
フエの歴史的建造物群は、ベトナムの豊かな歴史と文化を反映しており、現在もその多くが保存されています。しかし、フエの王宮や寺院は、何度かの戦争や自然災害により一部が破壊されました。それにもかかわらず、遺跡は修復され、観光地としても重要な位置を占めています。近年では、保存活動が進められ、建物の劣化を防ぐための対策が講じられています。
フエの文化的価値はその建築様式にとどまらず、ベトナムの歴史と王朝文化を知る上で欠かせない場所となっています。王朝時代の宮殿や墓所、寺院群は、ベトナムの民族アイデンティティや宗教観、政治体系の発展を物語っており、訪れる人々に深い感銘を与えています。フエは、その壮大な遺跡群を通じて、ベトナムの古代文明の栄光と誇りを今に伝え続けています。

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