| 国 | チリ共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2005年/2011年、2019年範囲変更 |
| 登録基準 | (ⅱ)(ⅲ)(ⅳ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻408p |
| 英文タイトル | Humberstone and Santa Laura Saltpeter Works |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
ハンバーストーンとサンタ・ラウラの硝石工場群とは
企業都市の見本とされた硝石工場の集まる街
ハンバーストーンとサンタ・ラウラの硝石工場群(Humberstone and Santa Laura Saltpeter Works)は、チリ北部のタラパカ地方に位置する歴史的な硝石精錬所の遺跡であり、2005年にユネスコの世界遺産に登録されました。この遺産は、19世紀から20世紀初頭にかけて世界の硝石産業を支えた重要な拠点であり、当時の労働者の生活や産業の発展を今に伝えています。
歴史的背景
ハンバーストーンとサンタ・ラウラの硝石工場群は、1872年に設立されました。当時、硝石(チリ硝石)は化学肥料や火薬の原料として世界的に需要が高く、チリの経済を支える主要な輸出品でした。これらの工場では、硝石の採掘と精製が行われ、多くの労働者が過酷な環境の中で働いていました。
しかし、20世紀に入ると、ハーバー・ボッシュ法による人工肥料の開発が進み、天然硝石の需要が急速に減少しました。その結果、硝石産業は衰退し、ハンバーストーンとサンタ・ラウラの工場も1960年代には完全に閉鎖されました。現在では、廃墟となった工場群が当時の産業の歴史を物語る貴重な遺産として保存されています。
主要な遺跡と特徴
- 精錬所跡(Refinery Remains)
硝石を精製するための施設が残されており、当時の生産工程を知ることができます。 - 労働者の居住区(Workers’ Housing)
労働者が暮らしていた住居跡があり、当時の生活環境を垣間見ることができます。 - 劇場(Theater)
労働者の娯楽施設として使用されていた劇場の建物が現存しています。 - 学校(School)
労働者の子どもたちのために設立された学校の跡が残っています。 - 鉄道と輸送設備(Railway and Transport Facilities)
硝石を港へ運ぶために使用された鉄道や輸送設備の遺構が見られます。
文化的価値と遺産保護
ハンバーストーンとサンタ・ラウラの硝石工場群は、産業革命期の労働者の生活と硝石産業の発展を象徴する遺産です。労働者たちは「パンピーノス」と呼ばれ、厳しい環境の中で独自の共同体文化を築きました。彼らの団結と社会運動は、チリの労働者の権利向上にも影響を与えました。
ユネスコの世界遺産登録後、チリ政府や地域コミュニティによる保護活動が進められています。かつて危機遺産リストに登録されていましたが、修復作業が進み、2019年に危機遺産リストから除外されました。
現代における意義
ハンバーストーンとサンタ・ラウラの硝石工場群は、産業の発展と衰退の歴史を学ぶ場として重要な役割を果たしています。硝石産業の興隆と衰退は、技術革新が経済に与える影響を示す好例であり、持続可能な資源利用の重要性を考えるきっかけとなります。
この遺産を訪れることで、チリの産業史と労働者の生活を学びながら、歴史的な景観を楽しむことができます。未来の世代へ向けて、その価値を伝え続けるべき文化遺産として、今後も保護と活用が進められていくでしょう。

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