ジッダの歴史地区:メッカの入口

ジッダの歴史地区:メッカの入口
ラドスワフ・ボテフ, CC BY 3.0 PL, via Wikimedia Commons
サウジアラビア王国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2014年
登録基準(ⅱ)(ⅳ)(ⅵ)
その他の区分
公式テキストページ中巻77p
英文タイトルHistoric Jeddah, the Gate to Makkah

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

ジッダの歴史地区:メッカの入口とは

メッカ巡礼の玄関口として繁栄した港湾都市

ジッダの歴史地区:メッカの入口は、サウジアラビア西部の紅海沿岸に位置するジッダ市の旧市街であり、2014年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。この地区は、イスラーム世界の最も神聖な地であるメッカへの玄関口として、7世紀以降、巡礼者と交易商の重要な中継地として繁栄してきた歴史を今に伝えています。長きにわたり紅海交易の拠点として栄え、東西の文化が交差する場として独自の都市文化を育んできました。

ジッダは、カリフ・ウスマーンの時代にメッカへの巡礼者を受け入れる公式な港として指定されて以降、アラビア半島内外から多くの人々が行き交う都市となりました。こうした背景により、ジッダの歴史地区にはアラブ、ペルシア、オスマン、インド、そしてアフリカなど、様々な文化的影響を受けた独特の建築様式が見られます。伝統的な家屋は、サンガチと呼ばれる珊瑚石を用いた構造をもち、美しい木製のバルコニー「ローシャン(Rawshan)」が特徴的です。

この地区には、18世紀から19世紀にかけて建てられた歴史的住宅や商館、モスク、市場などが多数残されています。中でも「ナッシーフ邸」や「ヌーリー・バン・マフムード邸」といった代表的な住居は、伝統的なアラビア建築と紅海沿岸地域の建築技術が融合した優れた例とされ、当時の豊かな都市生活の様子を物語っています。また、巡礼者をもてなす施設や隊商のためのインフラが整えられていたことも、都市の機能性と宗教的役割を反映しています。

ジッダの歴史地区は、イスラーム教の五行の一つであるハッジ(巡礼)と深く関わる都市としての役割だけでなく、海洋交易を通じて香辛料、香料、布地、陶器など多様な商品が行き交う国際的商業都市としての性格も強く持っていました。こうした二重の機能は、ジッダを単なる地方都市ではなく、イスラーム世界における交通と経済の要所に押し上げたのです。

今日では、近代化の波の中で多くの歴史的建造物が失われる危機に直面していますが、世界遺産への登録を機に、サウジアラビア政府と地元コミュニティによる保存と修復の努力が進められています。ジッダの歴史地区は、宗教、文化、経済が交差する場としての人類の歴史を象徴する貴重な遺産であり、イスラーム世界における巡礼文化と海上交易の結節点としての役割を今日に伝えています。

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