| 国 | エルサレム(ヨルダン・ハシェミット王国による申請遺産) |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 1981年/1982年危機遺産登録 |
| 登録基準 | (ⅱ)(ⅲ)(ⅵ) |
| その他の区分 | 危機遺産 |
| 公式テキストページ | 中巻126p |
| 英文タイトル | Old City of Jerusalem and its Walls |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
エルサレムの旧市街とその城壁群とは
紛争の舞台となった3宗教の聖地
エルサレムの旧市街とその城壁群は、ユダヤ教、キリスト教、イスラームという三大宗教の聖地として、世界中から多くの信者が巡礼に訪れる歴史的な場所です。エルサレム旧市街は、その重要な宗教的意味合いだけでなく、数千年にわたる歴史を有し、多くの文明が交錯した地域でもあります。1967年にユネスコの世界遺産に登録され、その価値が国際的に認められました。
旧市街は、約1平方キロメートルの範囲に広がり、4つの異なる地区(ユダヤ人地区、キリスト教地区、ムスリム地区、アルメニア地区)で構成されています。それぞれの地区は宗教や文化によって特徴づけられ、多様な人々が暮らし、信仰と生活が融合した独特な雰囲気を持っています。
エルサレムの城壁は、旧市街を囲む壮大な防壁であり、その起源は紀元前8世紀にさかのぼります。現在見ることができる城壁は、16世紀にオスマン帝国のスレイマン大帝によって再建されたもので、オスマン建築の代表的な例として評価されています。城壁は、厚さ4メートル以上の石で作られており、複数の門や塔を備えています。最も有名な門は「ダマスカス門」と「ヤッフォ門」で、それぞれが旧市街と近隣の地域へ通じる重要な交通路を形成しています。これらの城壁は、歴史的な防衛の役割を果たすとともに、エルサレムの歴史的・文化的アイデンティティの象徴でもあります。
旧市街の最も重要な場所の一つが、聖墳墓教会です。この教会はキリスト教徒にとって最も聖なる場所であり、イエス・キリストの磔刑、埋葬、復活の地とされています。聖墳墓教会の周囲には、多くの巡礼者が集まり、宗教的な儀式や祈りが行われています。もう一つの重要な場所は、西壁(嘆きの壁)です。これはユダヤ教徒にとって最も神聖な場所の一つで、ユダヤ人たちが神に祈りを捧げるために訪れる場所です。また、ムスリムにとってもエルサレムは聖地であり、アル・アクサー・モスクがある地域は、イスラームの第3の聖地とされています。
旧市街はその宗教的な重要性だけでなく、歴史的な遺産や建築様式の点でも大変価値があります。城壁内には、古代ローマ時代やビザンチン、イスラーム時代の遺構が数多く残っており、歴史的な層が重なり合うように形成されています。特に、ローマ時代の「神殿の丘」やビザンチン時代の建物、オスマン帝国時代の建築物が見られ、これらが時代を超えて保存されています。
また、エルサレム旧市街は商業的な面でも賑わっており、街中には伝統的な市場が広がり、手工芸品や香辛料、衣料品などが販売されています。これらの市場もまた、エルサレムの多文化的な側面を象徴しています。
エルサレムの旧市街と城壁群は、単なる歴史的遺跡にとどまらず、現在も多くの人々にとって宗教的、文化的、歴史的な重要性を持つ生きた遺産です。今日でも世界中から訪れる巡礼者や観光客にとって、旧市街は深い意味を持つ場所であり、過去と現在が交錯する特別な空間を提供しています。

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