古代カルタゴ都市ケルクアンとそのネクロポリス

クリッツォリーナ, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
チュニジア共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年1985年/1986年範囲拡大
登録基準(ⅲ)
その他の区分
公式テキストページ中巻256p
英文タイトルPunic Town of Kerkuane and its Necropolis

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

古代カルタゴ都市ケルクアンとそのネクロポリスとは

古代カルタゴの様子を今に伝える都市遺跡

ケルクアンのポエニ都市とそのネクロポリス(墓地)は、チュニジア北東部の岬に位置する、古代カルタゴ文明の重要な遺跡です。この遺産は、1985年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。注目すべきは、ローマによる再開発を受けることなく、ポエニ人(フェニキア系民族)による都市計画や建築様式がほぼ完全な形で残されている点です。これは地中海沿岸のポエニ都市としては非常に珍しく、カルタゴ文明の実像を知るうえで貴重な資料となっています。

ケルクアンは紀元前6世紀頃に築かれ、紀元前3世紀半ばに放棄されたと考えられています。発掘調査により、住居、道路、水路、工房、公共浴場などが計画的に配置されていたことが明らかになっており、当時の高度な都市計画能力を示しています。住宅の床にはモザイクが施され、洗面設備や排水構造なども整備されていたことから、住民の暮らしが豊かで衛生的であったことがうかがえます。

また、この遺跡の一部にはネクロポリス(墓域)が含まれており、当時の埋葬習慣や信仰、社会階層に関する情報を提供しています。墓の構造や副葬品は、ポエニ人の宗教観や死生観、またフェニキア文化とのつながりを今に伝える貴重な証拠とされています。カルタゴ文明は、後にローマと対立し、最終的に滅亡に至るまで広大な勢力を誇りましたが、ケルクアンはその文化的核心の一部を体現する存在です。

ケルクアンの重要性は、破壊や再建を免れたがゆえに、純粋なポエニ様式の都市として現存している点にあります。ローマ化されたカルタゴ市とは異なり、フェニキア・ポエニ文化の独自性を色濃く残しており、地中海古代文明の多様性と地域的特性を理解するうえで不可欠な資料です。

現在でも、カルクアンの遺跡は整然とした街路や家屋の跡を歩くことで、古代の人々の生活を肌で感じることができる貴重な空間となっています。古代都市の原形をとどめるこの場所は、過去と現在をつなぐ架け橋として、歴史的・文化的価値を今なお発信し続けています。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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