| 国 | インド |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 1936年 |
| 登録基準 | (ⅰ)(ⅲ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻131p |
| 英文タイトル | Khajuraho Group of Monuments |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
カジュラーホの寺院群とは
官能的な浮き彫り彫刻の寺院群
カジュラーホの寺院群は、インド中部マディヤ・プラデーシュ州に位置するヒンドゥー教およびジャイナ教の寺院群で、10世紀から12世紀にかけてチャンデーラ朝の統治下で建造されました。もともとは約85の寺院があったとされますが、現在ではそのうち25が良好な状態で保存されています。これらの寺院は、インド中世の建築技術と彫刻芸術の粋を集めた存在として知られ、1986年にユネスコの世界遺産に登録されました。
寺院群は主に西群、東群、南群の三つのエリアに分かれ、それぞれにヒンドゥー教やジャイナ教の宗教施設が集中しています。西群には最も規模が大きく、また芸術的に優れたヒンドゥー教寺院が多く存在し、特に「カンダリヤ・マハーデーヴァ寺院」はその代表例とされています。この寺院はシヴァ神を祀っており、高さ31メートルに及ぶ塔状の尖塔(シカラ)を持ち、複雑な平面構成と豊かな装飾で知られています。
カジュラーホの寺院の最大の特徴は、その外壁を覆う精緻な彫刻群にあります。これらの彫刻は神話、儀式、日常生活、さらには性愛を主題としたものまで多岐にわたり、極めて写実的かつ優美な様式で表現されています。特に性愛的な場面を描いた彫刻は広く知られており、これらは単なる装飾ではなく、宇宙と人間存在の一体性や、カーマ(愛と欲望)を含む人生の四つの目的の重要性を示していると解釈されています。
建築様式としては、ナガラ様式に分類される北インド特有の構造が用いられており、基壇(ジャガティ)の上に立つ寺院は、塔状に積み上げられた構造と内陣、前室、舞踏堂、列柱廊などを備えています。その空間構成と視覚的リズムは、信仰と芸術が融合した見事な宗教建築の姿を示しています。
東群および南群には、主にジャイナ教の寺院が点在し、ヒンドゥー教の寺院とは異なる静謐で内省的な雰囲気を持っています。これらもまた、宗教的背景の違いを反映しつつも、高い彫刻技術と建築美を誇っています。
カジュラーホの寺院群は、単に宗教建築の枠を超えて、インドの中世文化における人間観、宇宙観、美意識を総合的に体現しています。芸術と信仰が高度に融合したこの遺産は、訪れる人々に時代を超えた精神的な深みと、美の極致を伝えてくれる貴重な文化財であると言えるでしょう。

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