| 国 | トルクメニスタン |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2005年 |
| 登録基準 | (ⅱ)(ⅲ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻48p |
| 英文タイトル | Kunya-Urgench |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
クフナ ‐ ウルゲンチとは
中世イスラム文化を伝える遺跡都市
クフナ・ウルゲンチは、ウズベキスタン北西部、アムダリヤ川の古い流域に位置する歴史的都市遺跡であり、中世イスラーム世界における学問と商業の一大中心地であった。かつてのホラズム・シャー朝の首都として11世紀から13世紀にかけて最盛期を迎えたこの都市は、交通・文化の要衝として重要な役割を果たした。モンゴル軍の侵攻によって壊滅的な被害を受けた後も、その宗教的意義や建築的遺産により長らく尊重され、今日にいたるまでその痕跡をとどめている。
遺跡群には、多様な時代と様式を反映した建築物が数多く残されており、その中でも特に注目されるのがクトルグ・ティムール・ミナレットである。このミナレットは高さ60メートルを超え、中央アジアでも屈指の高さを誇る。13世紀に建てられたとされ、円柱状の塔身に施された幾何学文様とコーランの銘文が精緻に刻まれており、その建築技術と美的完成度は当時の高度な工芸技術を物語っている。また、未完成のまま残された巨大なモスクの礎石や、スルタン・アリーの霊廟、ナジムッディン・クブラ廟、トゥルクマネ家の霊廟などが、イスラーム建築の多様性と地域的特色を如実に示している。
クフナ・ウルゲンチの建造物群には、焼成レンガや彩釉タイル、スタッコ装飾といった素材と技法が用いられ、装飾性と構造性の融合が見られる。特に霊廟建築においては、ドーム構造と外壁装飾に強い象徴性が込められており、信仰と建築の密接な関係がうかがえる。これらの建築遺産は、ホラズム地域の文化的独自性と、ペルシア・中央アジア・イスラームの建築潮流が交差する地点としての役割を象徴している。
この都市はまた、学問と神秘主義の中心地でもあり、イスラーム神秘主義(スーフィズム)の著名な指導者であるナジムッディン・クブラが活動した地としても知られる。そのため、巡礼の地としての宗教的意義を長く保持してきた。時代の変遷とともに都市機能は衰退し、やがて完全に放棄されたが、霊廟や記念建築は保存され続け、人々の信仰の対象であり続けた。
クフナ・ウルゲンチは2005年にユネスコ世界遺産に登録され、その歴史的価値と文化遺産としての重要性が国際的に認知された。現在では、その保存・修復が進められ、かつての学術・信仰・建築の中心地としての面影を今に伝えている。中央アジアの歴史的変遷を体現するこの遺跡は、文明の交差点としての意義を深く内包し、人類共通の遺産として尊重されている。

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