| 国 | マレーシア |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 2012年 |
| 登録基準 | (ⅲ)(ⅳ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻169p |
| 英文タイトル | Archaeological Heritage of the Lenggong Valley |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
レンゴン渓谷の考古遺跡とは
アフリカ大陸外最古の初期人類の遺跡
レンゴン渓谷の考古遺跡は、マレーシア半島北部、ペラ州の山間部に位置し、東南アジアの先史時代を理解するうえで極めて重要な文化遺産です。この地域は、数万年にわたり人類が継続的に居住してきた証拠が残されており、旧石器時代から新石器時代、さらには金属器時代に至るまでの人類の生活の変遷をたどることができます。2000年にはユネスコの世界遺産に登録され、アジア有数の先史時代遺跡として国際的な注目を集めています。
この渓谷で最も有名な発見のひとつは、1957年に出土した約11,000年前の人骨「ペラック人」の遺骸です。これはマレーシア国内最古の完全な人骨とされ、その保存状態の良さから、当時の人々の身体的特徴や埋葬習慣を詳しく知る貴重な資料となっています。この遺骸は、横たわった状態で石器とともに埋葬されており、死者への儀式的行為がすでに存在していたことを示唆しています。
レンゴン渓谷ではまた、多種多様な石器や土器、装飾品が発見されており、それらは当時の人々の生活や技術の発展を物語っています。例えば、新石器時代の層からは研磨石斧や陶器片が出土しており、農耕や定住生活が始まっていたことがうかがえます。また、青銅器や鉄器の出土により、後期の文化が外部と交易を行っていたことも明らかになっています。
さらに、渓谷内には多くの岩陰遺跡や洞窟が点在しており、それぞれの場所が異なる時代の居住跡を示しています。これにより、レンゴン渓谷は単なる一時期の集落跡ではなく、長期間にわたる人類の文化的営みを連続的に記録した稀有な場所であることがわかります。地層の研究や炭素年代測定によって、年代の特定も進められており、東南アジア先史時代の時間軸を構築する基盤となっています。
今日、レンゴン渓谷は学術的価値だけでなく、文化観光の拠点としても整備が進められています。出土品の多くは現地の博物館に展示されており、一般の訪問者にも考古学の魅力と人類の歴史への関心を喚起する場となっています。また、マレーシア政府と研究機関による保護活動も活発に行われており、地域住民の協力のもと、遺跡の保存と持続可能な活用が図られています。
このように、レンゴン渓谷の考古遺跡は、東南アジアにおける人類の進化と文化の発展を解き明かす貴重な鍵であり、その歴史的・科学的価値は世界的に高く評価されています。

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