イスファハーンのマスジェデ・ジャーメ(金曜モスク)

イスファハーンのマスジェデ・ジャーメ(金曜モスク)
Alireza Javaheri, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons
イラン・イスラム共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2012年
登録基準(ⅱ)
その他の区分
公式テキストページ中巻148p
英文タイトルMasjed-e Jāmé of Isfahan

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

イスファハーンのマスジェデ・ジャーメ(金曜モスク)とは

様々な時代の建築様式が融合されたイスラム建築の傑作

イスファハーンのマスジェデ・ジャーメ(金曜モスク)は、イラン・イスラム建築の発展を時代ごとにたどることができる稀有な宗教建造物であり、イラン中部の歴史都市イスファハーンに位置しています。その起源はイスラーム初期の8世紀にさかのぼり、その後の各時代にわたり改築・増築が繰り返されてきました。そのため、マスジェデ・ジャーメは単なる礼拝の場にとどまらず、1,200年近い建築技術と美術の推移を今に伝える、生きた建築史のような存在となっています。

このモスクは、イランにおけるイーワーン形式(壁面に設けられた大きなアーチ状の空間)を礼拝空間に取り入れた最古の例としても知られています。四方に設けられた4つのイーワーンは、それぞれが異なる時代の様式を示しつつ、礼拝堂の中庭を取り囲んでいます。とりわけ、セルジューク朝時代(11~12世紀)に築かれた南イーワーンとドームは、煉瓦を用いた精緻な装飾と構造の巧妙さで知られており、イラン・イスラーム建築における金字塔とされています。

このモスクの建築では、素材や装飾技術においても多様性が見られます。煉瓦を主体としながらも、後の時代には彩釉タイルや漆喰細工なども加えられ、色彩豊かで視覚的にも荘厳な空間が創出されています。また、ミフラーブ(聖方向を示す壁龕)やミンバル(説教壇)には、宗教的意味をもつアラビア文字の装飾が施され、信仰と芸術が融合した神聖な雰囲気を演出しています。

さらに注目すべき点として、このモスクは都市機能の中心に位置しており、宗教施設であると同時に、社会的・文化的な交流の場でもありました。市場や神学校、公共施設と連動し、イスラム都市における「金曜モスク」が果たす多面的な役割を示す好例といえます。

マスジェデ・ジャーメは2012年にユネスコ世界遺産に登録されました。これは単なる宗教建築としてではなく、時代を超えて建築様式や社会構造の変遷を映し出す文化的景観として高く評価された結果です。現代においても、礼拝や学びの場として使われ続けており、建築遺産でありながらも人々の生活と結びついた「生きた遺産」としての価値を保ち続けています。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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