始皇帝陵と兵馬俑坑

始皇帝陵と兵馬俑坑
中華人民共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年1987年
登録基準(ⅰ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅵ)
その他の区分
公式テキストページ中巻116p
英文タイトルMausoleum of the First Qin Emperor

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

始皇帝陵と兵馬俑坑とは

中国初代皇帝の権力を示す壮大な地下帝国

始皇帝陵と兵馬俑坑は、中国陝西省西安市の郊外に位置する、秦の始皇帝の陵墓を中心とする大規模な古代遺跡群です。紀元前3世紀に築かれたこの陵墓は、中国統一を成し遂げた秦の始皇帝・嬴政の死後に埋葬された場所であり、その規模と構造、併設された兵馬俑坑の存在から、古代中国における政治、軍事、芸術、宗教観を深く知る手がかりとして極めて重要です。1987年にはユネスコの世界文化遺産に登録されました。

始皇帝陵は、秦の始皇帝が生前から自らの死後を見据えて建設を命じた壮大な陵墓で、建設にはおよそ38年間が費やされたとされています。陵墓本体は未発掘ながら、地下にはかつての中国全土を模した縮小地図が設けられ、水銀を用いて川や湖が表現されていたという記録が『史記』に残されています。これらの記述は考古学的調査によって部分的に裏付けられており、陵墓の内部には未だ多くの謎が眠っていると考えられています。

陵墓の周囲には、兵馬俑と呼ばれる実物大の陶製の兵士や馬の像を収めた坑が多数存在します。1974年に地元の農民によって偶然発見された第1号坑を皮切りに、現在までに3つの主要な俑坑が確認されており、数千体にのぼる兵士、馬、戦車などが整然と配置されています。これらの俑は、秦の軍隊を正確に模しており、兵士たちは一体一体顔立ちや表情、服装が異なり、当時の技術力と写実的表現の高さを証明しています。

兵馬俑は単なる副葬品ではなく、始皇帝の死後の世界を守るための「冥界の軍隊」として設けられたとされ、秦王朝の権威と永続を象徴する存在でもあります。戦車や騎馬兵、弓兵など、さまざまな兵種が揃えられ、軍陣としての配置にも戦術的な工夫が見られます。また、陶俑の製作には当時の各地から集められた職人が関わり、多様な技術と文化が融合している点も注目されます。

この遺跡群は、中国古代史と統一国家成立の過程、秦王朝の権力構造を物語る上で極めて貴重であり、またその規模と保存状態、考古学的意義においても、世界的に稀有な遺産とされています。発掘と研究は今なお進行中であり、新たな発見が歴史の再解釈に寄与する可能性も高く、学術的な期待が寄せられています。

今日では、始皇帝陵と兵馬俑坑は一般に公開されており、多くの人々が訪れる文化観光の重要拠点となっています。古代中国の壮麗な権力観と死生観を今に伝えるこの遺産は、人類の歴史遺産として後世に伝えるべき極めて重要な文化財です。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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