ムンバイにあるヴィクトリア朝ゴシックとアール・デコの建造物群

ムンバイにあるヴィクトリア朝ゴシックとアール・デコの建造物群
デシボーイ101, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
インド
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2018年
登録基準(ⅱ)(ⅳ)
その他の区分
公式テキストページ中巻186p
英文タイトルVictorian Gothic and Art Deco Ensembles of Mumbai

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

ムンバイにあるヴィクトリア朝ゴシックとアール・デコの建造物群とは

ムンバイ現代化の歩みを示す建造物群

ムンバイにある「ヴィクトリア朝ゴシックとアール・デコの建造物群」は、19世紀後半から20世紀中葉にかけて建設された一連の建築群で、2018年にユネスコの世界遺産に登録されました。これらの建造物は、インドの植民地時代と独立期の都市形成を物語るものであり、西洋の建築様式がインドの伝統と融合することで独自の都市景観を生み出しています。遺産は、主にムンバイ中心部のオーバル・メイダンと呼ばれる広場を挟んで東西に広がっており、都市の歴史的・文化的変遷を象徴する空間となっています。

東側には、19世紀後半に建てられたヴィクトリア朝ゴシック様式の建造物群が集中しています。これらはイギリス植民地政府の統治のもとで建設されたもので、尖塔やアーチ、ステンドグラスなどヨーロッパ中世の特徴を備えつつ、インドの装飾文様や素材が取り入れられています。代表的な建築物には、ムンバイ大学の図書館や時計塔、エルフィンストーン・カレッジなどが含まれます。これらは、学術と行政の中心として都市の近代化を支える拠点となりました。

一方、西側には、20世紀初頭から中葉にかけて流行したアール・デコ様式の建物が立ち並びます。滑らかな曲線、幾何学模様、流線形のデザインが特徴で、当時の映画館や集合住宅に多く採用されました。これらの建築は、植民地時代から独立へと向かうインド社会において、中産階級の台頭や大衆文化の形成を象徴する存在であり、西洋的モダニズムとインドの気候や生活様式に配慮した設計が融合しています。

このように、ヴィクトリア朝ゴシックとアール・デコという二つの建築様式が、オーバル・メイダンを中心に向かい合う形で配置されていることは、都市景観として極めてユニークです。両者の様式は時代背景こそ異なりますが、それぞれの時代における都市の理想像を反映し、ムンバイが多様な文化や価値観を受け入れながら発展してきたことを物語っています。

この建造物群は、単なる建築の集合ではなく、ムンバイの近代史、植民地と独立、伝統と革新といった複雑な歴史の層を体現している貴重な文化遺産です。現在でも多くの建物が使用されており、都市の日常生活の中に歴史が息づいています。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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