ミーソン聖域

ミーソン聖域
チェインウィット。, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
ベトナム社会主義共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年1999年
登録基準(ⅱ)(ⅲ)
その他の区分
公式テキストページ中巻157p
英文タイトルMy Son Sanctuary

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

ミーソン聖域とは

チャンパー王国に花開いたヒンドゥー教の聖地

ミーソン聖域は、ベトナム中部クアンナム省に位置するチャンパ王国の宗教的中心地であり、4世紀から13世紀にかけて築かれたヒンドゥー教寺院群の遺跡です。この地域は、古代インド文化の影響を色濃く受けたチャンパ王国において、シヴァ神を中心としたヒンドゥー教信仰の重要な聖地とされ、歴代の王たちによって多くの祠堂や記念碑が建立されました。1999年には、その歴史的・文化的価値が評価され、ユネスコの世界遺産に登録されました。

聖域の中心部には、煉瓦造りの祠堂や塔、祭壇などが点在し、現在もその姿を留めています。これらの建造物は、赤褐色の焼成煉瓦で築かれており、接着剤を使用せずに積み上げられた独特の技法が用いられています。その技術は現代においても完全には解明されておらず、建築工学の面でも注目を集めています。また、彫刻や浮彫には、ヒンドゥー教の神々や神話に登場する人物、動物、装飾文様などが施されており、チャンパ文化における美術の粋が表現されています。

ミーソンは単なる宗教施設ではなく、王権の正統性を示す場としての機能も持っていました。王たちは即位や戦勝などの重要な節目にこの地を訪れ、神々に感謝を捧げ、祈願を行ったと考えられています。そのため、聖域には歴代の王による奉納碑文も多く残されており、政治と宗教が密接に結びついていた当時の社会のあり方を知る手がかりとなっています。

長い歴史の中で、聖域は自然災害や戦乱の影響を受け、現在では多くの建造物が損壊しています。特に20世紀半ばのベトナム戦争においては、空爆によって大きな被害を受けました。それにもかかわらず、ミーソン聖域は依然として高い文化的価値を保持しており、現在もベトナム政府と国際機関による保存修復が続けられています。

ミーソン聖域は、東南アジアにおけるインド文化の影響と、在地の信仰・芸術の融合を示す貴重な遺産です。その静謐な佇まいの中に、古代の精神文化と王権の威光が息づいており、訪れる人々に深い歴史の重みと文化の奥行きを感じさせる場所となっています。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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