| 国 | アルジェリア民主人民共和国 |
|---|---|
| 登録区分 | 文化遺産 |
| 世界遺産登録年 | 1982年 |
| 登録基準 | (ⅱ)(ⅲ)(ⅴ) |
| その他の区分 | |
| 公式テキストページ | 中巻269p |
| 英文タイトル | M’Zab Valley |
※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら
ムザブの谷とは
厳粛なイスラムたちの「キュビズム」都市
ムザブ渓谷(M’Zab Valley)は、アルジェリア北部のサハラ砂漠に位置し、独特の伝統的な都市構造を持つ地域として知られています。1982年にユネスコの世界遺産に登録されたこの渓谷は、11世紀にムザブ族(イバード派のイスラム教徒)が築いた5つの都市で構成されており、厳しい砂漠環境に適応した都市計画と建築技術が特徴です。
ムザブ渓谷の都市構造
この地域にある主な都市は、ガルダイア(Ghardaïa)、ブニ・イズゲン(Beni Isguen)、メリーカ(Melika)、ブー・ヌーラ(Bounoura)、エル・アティフ(El Atteuf)です。これらの都市は、それぞれ丘の上に築かれ、迷路のような細い路地と高い壁に囲まれた家々が特徴的です。都市の中心にはモスクがあり、周囲には住居や市場が広がるという独特の構造を持っています。
ムザブの建築は、砂漠の気候に適応した設計となっており、厚い壁で熱を遮り、建物の配置によって風通しを確保する工夫がされています。住居はシンプルながら機能的で、家の内部は涼しさを保つように設計されています。また、都市全体が階層構造となっており、宗教的な施設が最も高い場所に配置されるなど、独自の社会的秩序が確立されています。
ムザブ族の文化と持続可能な都市設計
ムザブ渓谷の住民は、イバード派イスラム教徒としての信仰を大切にしており、都市の構造もその宗教的価値観に基づいて設計されています。特にブニ・イズゲンは、厳格な宗教的規律のもとで管理されており、訪れる人々には一定の規則が求められることがあります。
また、ムザブ渓谷の都市は持続可能な生活様式を実践しており、水の管理や農業の工夫が見られます。井戸や貯水池を活用した水供給システムが発達しており、乾燥した環境の中でも効率的に資源を管理する技術が培われてきました。
現代におけるムザブ渓谷の重要性
ムザブ渓谷は、単なる歴史的遺跡ではなく、現在も多くの人々が生活する地域です。そのため、伝統的な都市設計が維持されつつも、現代の技術を取り入れながら発展を続けています。世界遺産として登録されたことにより、地域の文化や建築技術の保存が促進される一方で、観光の影響も考慮されながら適切な管理が行われています。
ムザブ渓谷を訪れることで、砂漠環境に適応した独自の都市構造や、宗教・文化に根差した持続可能な生活様式を学ぶことができます。この地域は、都市計画と建築技術の歴史的な発展を知る上で極めて重要な遺産となっています。

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