普洱(プーアル)の景邁山古茶林の文化的景観

普洱(プーアル)の景邁山古茶林の文化的景観
維基小霸王, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
中華人民共和国
登録区分文化遺産
世界遺産登録年2023年
登録基準(ⅲ)(ⅴ)
その他の区分文化的景観
公式テキストページ中巻196p
英文タイトルCultural Landscape of Old Tea Forests of the Jingmai Mountain in Pu’er

※テキストは世界遺産1500(2024年発行の最新版)になります。参照はこちら

普洱(プーアル)の景邁山古茶林の文化的景観とは

千年の歴史を持つプーアル茶の生産地

中国雲南省西南部、普洱市に位置する景邁山(けいまいさん)古茶林の文化的景観は、人類と自然の長期にわたる調和的関係を象徴する貴重な文化遺産です。この地域では、千年以上にわたって先住少数民族が茶樹の栽培と管理に携わってきた歴史があり、その持続的な土地利用と精神文化が高く評価され、2023年にユネスコの世界遺産に登録されました。

景邁山には、1000年以上前に植えられたとされる古茶樹が今なお生き続けており、その総面積は約11,000ヘクタールに及びます。古茶林は、森林の生態系と共存するように計画的に育成されており、「林中有茶、茶中有林」と称される独特の景観を形成しています。つまり、自然林の中に茶樹が点在する形で、人工と自然の境界が巧みに調和しているのです。

この茶林の維持と管理を担ってきたのは、主にブラン族やタイ族などの少数民族であり、彼らの暮らしには茶の栽培と密接に結びついた独自の信仰と儀礼が息づいています。例えば、茶樹の精霊を祀る「茶祖信仰」や、山の神に感謝する祭礼などが今なお継承され、茶の生産が単なる経済活動にとどまらず、精神文化の核を成していることがわかります。

また、景邁山の茶文化はその製法や流通にも特色があります。手摘みによる茶葉の収穫、天日乾燥や手揉みといった伝統技術が現在も守られており、こうした方法でつくられるプーアル茶は、味わいだけでなくその背景にある文化的意味によっても世界的に高く評価されています。

さらに、この地域の村落構造や土地利用にも注目すべき点があります。居住区域、耕作地、茶林、そして森林が段階的に配置され、自然の生態系を損なうことなく持続可能な生活を実現しています。これにより、生物多様性の保全にも寄与しつつ、人々の暮らしと経済活動が共存してきたのです。

景邁山古茶林の文化的景観は、自然と人間の相互作用によって形成された、稀有な持続可能な文化景観の好例です。それはまた、土地と文化、信仰と技術、共同体と環境が一体となって築かれてきた生活の知恵を今に伝える、世界的に重要な遺産であるといえるでしょう。

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この記事を書いた人

世界遺産ハントの管理人。

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